出会い
一週間寝込んだ。
食中毒で。
不摂生な生活で何かよくない物を食べたせいだろう。
しかし死ねなかったので、また不摂生に飯を食べる。
今度、食中毒になったら死ねればいいな。
自分から死ぬことは出来ない俺だから。
飯を食べたあとすることがないので散歩で公園に向かう。
いつも座るベンチには客がいた。
齢は10代後半だろうか。髪は肩に少しかかる前髪は切り揃えられている整った顔をした女性だ。
服装は二月だというのに長袖のTシャツにジーパンだけだった。そしてベンチに寝そべっている。
俺は声をかけた。ベンチに座るために。
「隣いいかな」
「うん? ああどうぞ」
ここで気になった疑問をついでに聞いてみる。
「その格好で寒くないのかい?」
「大丈夫だよ。おじさん誰? 補導員? それともナンパ?」
「どっちもハズレ……ここのベンチによく座って呆然としてるのが趣味なんだよ」
「なにそれちょっとうけるんだけど」
「……笑わせようとしたわけではないんだけどね」
それから俺は彼女と他愛の無い世間話をしたりした。
その内容は本当に他愛も無いもので……
しかし。最後に
「おじさん家に泊めてくんない?」
彼女がそう言ってきたから、
「別にいいよ」
と答える俺がいた。
その唐突さがあいつに似ていたから。