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快晴でも心の中は晴れない

 


 朝。いい天気だ。

 昨日警察との絡みがなければ、素直に快晴を喜んだであろう。

 医者に貰った薬を一錠口に含む。

 やはり外を出歩くのは止めよう。

 無意味だ。

 朝と昼は太陽に晒され、夜は警察の職務質問をうける。

 無職のなにが悪いんだ。無職だから悪いのか。無職は法律違反なのか。無職ってだけで犯罪者枠なのか。

 くそが! 薬が効いてねえぞくそが!

 医者に貰った薬を三錠口に含み噛み砕く。





 ……それからなにもせず虚空をみつめていた。

 玄関からノックがする。

 舌打ちをしつつ玄関に向かい、扉を開ける。

 そこには義母がたっていた。

「こんにちは悠一くん。ちゃんとご飯食べてる?」

「ええ……まあ」

 この人は苦手だ。あいつと顔がよく似ているから。

 思い出したくないのに、鮮明に思い出してしまうから。

 だから今日こそは言おうと思った。

「これ煮物ね。作りすぎたから……食べてね」

「……もう俺に関わらないでくれますか……」

 言ってしまった。

「すみません全部俺のせいです。だからもう勘弁してください。深く思い出すと辛いんです……」

「悠一くんのせいじゃないわ。それにね関わらないでいられるわけないじゃない。貴方はもう私の息子なのよ? 息子が不摂生な生活をしてるのは黙ってられません!」

「……ありがとうございます」

 優しさと芯の強い所をあいつはこの人から受け継いでいたのかもしれない。

「じゃあとりあえず煮物食べてね。それでたまにはそっちから顔を見せにきなさいな」

「……はい」

 そう言って義母は帰っていった。

 その夜に食べた煮物は料理が得意な義母の手作りのはずなのにしょっぱかった。



























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