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序
ここは、今日の都の一本路。
「あ、おはよォ、人音さん」
暑さも緩む夕暮れ刻には、沢山の人が町に出る。
「おはようございます、琴葉はん」
ゆらり、と灯籠に灯った光は柔らかに町を映しだし。
「あぁもォ、相も変わらずイケメンやわァ、人音さん。食べてええ?」
同時に、人でないものも映しだす。
「それはかんにん、琴葉はん。えーと……あった、私の秘蔵の飴ちゃんあげますから」
ほの明るく照らされたその顔は。
「あッ、飴ちゃん!? しかも優月さん家のイチゴ味!」
耳まで裂けた大口で、飴を頬張る琴葉はん。
「あー、うん、おおきに」