4日目
朝、腹に違和感を感じて目を覚ます。
するとそこには柳が居て、こちらを見ていた。
「なんだよ...あぁ、朝飯か」
飼い主でも無いというのに、わざわざ起こして飯をねだってくるなんて図々しい。
しかし目が冷めてしまったのもあって、仕方ないので柳の朝飯を用意することにした。
「寒っ」
起き上がると、あまりの寒さ驚いた。
外を見てみると、外には白い粉が降っていた。
「なんだ、雪か?」
窓を開けると昨日よりも風が一層寒く感じられた。
粉に触れると、やはり冷たい、雪だった。
「いくら寒いって言ったって、雪まで降るか...」
しかしこうしてもいられないので、リビングまで柳と共に行き、柳の朝飯を用意する。
そして柳が朝飯を済ませているうちに、自分達の朝食も用意することにする。
「といっても、パンしか無いんだけどな」
苦笑いをしつつも、昨日一緒に買ってきておいた、ハムとチーズで、ちょっとしたホットサンドを作る事にした。
「おはよう、今日は早いね」
「ああ、おはよう佐藤さん、早いというか、柳に起こされたんだよ...」
手早くホットサンドを作り、佐藤さんと朝食を摂る。
「いつもごめんね、用意してもらっちゃって」
「いや、この程度の量だったら対して手間は変わらないし、気にしなくていいよ」
置かれたホットサンドを食べながら、佐藤さんは申し訳なさそうに言うが、実際、あまり気にしてはいない。
理由としては、1人で食事をするよりもずっと美味しく感じられるからというのが大半だ。
今この瞬間、佐藤さんがいなければ、自分が思っているよりもずっと、寂しいと感じることだろう。
「それにしても、どうしてこうも季節外れなことばかり起きるんだろうな」
「えっと...外の雪のことかな」
「そう、それだよ」
ここ数日で寒さに慣れてきてしまったのもあって忘れそうになるが、今はまだ夏だ。
そんな中、雪が降るなんて考えたこともなかった。
「まるで、冬みたいだね」
「確かに、夏と言われても違和感しか湧かないな」
そんな中身があるようで、特に中身のない話しをしながら、朝食を済ませた。
「こんな天気になっている中であまり出歩きたいとは思えないが、今日も出かけようと思う」
「...それで、今日はどこに行くの?」
「昨日の話を聞いて、考えたが、例の黒百合さんの家へいちど行ってみようと思う、案内頼めるか?」
「...はぁ、しょうがないね、分かった、案内するよ」
「あまり無理はさせたくないんだけど、ごめんな」
こうして、雪の降る中、この日は佐藤さんの案内で、黒百合仙華の家へ行く事になった。




