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外へ

「外?」


不思議そうに言う佐藤さんがいる

だが、ここまで気にしていなかった事のほうがおかしい


「そうこの場所の外だ、俺が学校に来るまでは間違いなく時計は動いていたはずだし

 何より佐藤さんとこの場所に来たタイミングは違う可能性が高いのに

 認識している時計の時間が同じなのはおかしい」


「ちょっ...ちょっと待ってよ、いきなりそんなに言われても分かんないから」


確かに俺自身良く分からないのだから、急にこんなことを言われた佐藤さんが分かるわけがない


「そうだよな、じゃあ一つずつ考えよう」

「えっ...うん」


そう、一つずつ落ち着いて解決する事がこの状況なら大事なはずだ

とりあえず一呼吸おいて一番の疑問を言葉にする


「まぁ、そうなると何でこの場所の時間が止まっているのかって疑問が一番の疑問って事になるんだけど」

「わかんない...」


これでもかというほどの当たり前の反応ですこの子

まぁ実にその通りであって、手がかりが少ないこの状況で分かるような疑問でもない

なら次だ、これは佐藤さんが居なければ確認出来なかったはずのことだ。


「時間が止まっているのか理由は分からないにしても、佐藤さんが学校へ来た時間は覚えていないか?」

「えっと、ごめん...正確な時間は見てなくて、朝だったのは多分合ってると思うんだけど」


まさかこの質問で曖昧な答えしか帰ってこないとは思わなかった

きっと正確な答えが出せるような疑問は少ないんだろう、少なくともこの状況では

ならここは思い切ってやはり外に出てみるべきじゃないだろうか

学校の生徒はどうなったのかだとか

誰も居ないのならどうしてここに入ることが出来たのかだとか

分からないことはいくらでも出てくるのだから


「分からないのは仕方ない、けどそれならこそここは思い切って外に出てみないか?」

「やっぱりそうなるよね...何があるか分かんないけど、ここに居続けても仕方ないもんね」


渋々ながらも納得してくれたような気がする

なら気が変わる前に動いてしまうことにしよう


「学校から出るならやっぱり昇降口?」

「まぁ、そうだろうな行こうか」


そして昇降口へ来たのは良いんだが、やっぱり佐藤さんの姿が見えないのは不安になる

居るのか居ないのかまるで分からないのだから

姿が見えない以上、存在を確認するには、音しか無いのだけれど

何故か佐藤さんの足音がしないのだ


「えっと...佐藤さん、いる?」

「いるよー」


なんとも軽い返事が返ってきたが、一応ついてきてくれているらしい


「そっか...私の事、見えないんだっけ」

「なんでなのかは分からないけどな」


少し寂しそうな声だったが、いつまでもここに居ても仕方ないのだ

今はこの状況に少しでもヒントが欲しい

それには一度外に出てみることくらいしか、今の俺には思い浮かばない


「いいか?外に出るぞ」

「うん」


この時間の止まってしまっている状況の打開策として

俺は昇降口の扉を開けた

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