格好良く
スーパーを出ると、次に行く場所をまるで決めていない事に気づき、さてどうしようかという話になった。
これまでに異変が起きた、学園や大貫家周辺を探索するか、それ以外の場所へ行くか、ということだ。
大貫家自体には何も残っていなくても、その周辺には何か手がかりがある可能性はある。
学園周辺は、未だにおかしな部分が多く、探索をすれば気づく部分もあるかもしれない。
それ以外の場所へ行くのなら、この数日の狭かった探索範囲を広げる事になる。
「行き詰まり感が出てきつつあるから、いろんな場所を探ってみるのもいいかもしれないよ?」
相談をはじめて早々に一人黙り込んだのを見かねてか、佐藤さんがそんな提案をしてきた。
確かにここ数日である程度調べたのにも関わらず、大きな発見は無かった、むしろ謎が増えていくばかりだ。
とはいえ、そんな謎が増えていく度に、何かに近づいているんじゃないか、という感覚はあった。
「どうする?」
「そうだな...別の場所を探るのはもう少し待ってくれないか?」
「いいけど、どうして?」
「もう一度、大貫家を見ておきたい、あとその周辺にも何か起きていないかって事を調べておきたい」
「...そっか、分かった」
少しだけ、佐藤さんが含みのある返事をしたような気がした。
けれど聞き返す気にもなれず、歩き出したと同時に「言いたいことがあれば、遠慮せずに言ってくれてもいいから」とだけ伝えた。
少し早足で進むと、後ろから笑い声を堪えるような音が聞こえた、正直自分でも気持ち悪いと思った。
それでも、からかってきたり、それ以上引きずったりしないのは佐藤さんなりの優しさかもしれない、それでいて伝えた言葉が正しく受け止められていればなおさら良い。
「さて...どうしようか」
「うん?」
大貫家のあった通りへ着くと、やはり一切の人通りが無い、もちろん自分たち以外のだが。
それに調べると言っても、どこから手を付ければいいだろうか、この通りには家ばかりだ。
そんな事を悩んでいると「とりあえず大貫さんの家をもう一度見てみたら?」という提案をされた。
それも悩んでいるよりは良いかと思い、とりあえず大貫家へ行く事にした。




