これから
朝食を摂っている間、まず話題に出てきたのは『気温の低さ』についてだった。
本当に突然、今日になって予想気温が下がっていた。
数度下がる程度ならば、季節の変わり目であるこの時期だからありえない事ではない。
だが、これがいきなり冬も半ばの気温に変わったとなれば話は別だ。
それに、テレビでは天気予報を普通に行っているのだ、ここまで急激に気温が変わったのなら、もう少し騒いでいてもおかしくはないはずだ。
とはいえ、自分達で調べられる事なんて限度があるし、とりあえずは、一番自分達の近くで起きた事を調べる事にした。
「そうだな...ひとまず、今調べなきゃいけない事について、まとめてみよう」
「なんだか、刑事か探偵にでもなったみたいだね」
「そうか?まぁ、事件といえば事件か...」
「そうだよー、この街の平穏は私達にかかってるんですよ?刑事!」
「ははは...じゃあ、頑張らないとな」
半ば無理やりに、佐藤さんが重かった空気を軽くしてくれた、これで少しは楽にこれからの予定をたてられそうだ。
いつの間にか食べ終わっていた食器を下げると、話を再開した。
「それじゃあ、ひとつずつあげていこう『学園生が行方不明』これは原因不明だ」
「うん」
「次に、『学園内の時計が止まっている』これは・・・原因不明だけど、一応動いてはいたんだよな」
「そうだねー、動いた瞬間を見たわけじゃないけど、時計の針が指す位置は変わってたね」
そう、動かないと思っていた時計の針は見ていない所で、少しずつ動いていた。
これは佐藤さんが気づかなければ分かるのが遅くなっていたかもしれない、佐藤さんに感謝だ。
「そして、『大貫家が行方不明』まぁこれは...引っ越した可能性もあるしなぁ...」
「不自然ではあったよね、お母さんの様子もおかしかったし」
「そうだな、あれは普通じゃなかった」
あの時は、大貫雄大について詳しく尋ねたら、突然頭痛を訴えてきて、まともに話が出来なかった。
そして、次に大貫家に行った時には、誰も居なくなっていた。
こうなってしまうともうお手上げだ、手出し出来る範囲ではなくなってしまった。
「こうしてあげていくと、どれもとんでもない内容だな」
「そうだね、それに加えて今日のこの気温もおかしい内容のひとつだもん」
「結局、外に出てみないと何も分からないって事か...」
考えるべき事は沢山ある、そして本人には言えないけれど、佐藤さんの体の事も気になっている。
それら全てが自分達だけで解決出来るとは思ってはいない、けれど、少しでも真相に近づけたら...と思う。
きっと、昨日の一言が自分の中で気になって仕方ないんだと思う。
『眠らなくても平気な体』
それが一体何を意味していたのか。
たったの二日間でここまで彼女の事が気になってしまうほど情が移ってしまったのか。
ただ分かる事は、出会った当初よりも、自分は彼女の事を気に入っているという事だった。