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二度目の

夢が終わると思った瞬間に、現実へと引き戻される。

そういえば、家に帰った後にどうしたのか覚えていない。


「昴?」


目を開けたと同時に声がした、近くを見回しても、声の主が居ないので何事かと一瞬思いもしたが、

そういえば姿が見えない奴と知り合ったんだったと思い出す。

どうやらまだ頭が上手く働いてくれていないようで、状況が把握できていない。


「えっと...とりあえず、おはよう?」

「おはよう、そして何故疑問形なんだ」

「いやだって...昨日帰ってきてすぐ倒れちゃったし、でも朝になったら普通に起きたんだもん」


佐藤さんがそんな事を言うが、まるで覚えていないのだから悲しそうな声で言わないでもらいたい。

でもそのおかげで、何故全身がひどく痛いのかが分かった気がする。

というか佐藤さんよ、普通に起きちゃいけないのか、まるで起きてほしくなかったように聞こえるぞ、あえて言わないが。


「まぁ、なんで倒れたかは分からないけど、元気だから、うん」

「倒れるって所からもう元気じゃないと思うんだけど...」

「いやうん、大丈夫大丈夫、それより母さんはどうしたんだ?さすがに廊下で倒れてたら普通気づくと思うんだけど」


このままでは話が長くなりそうだったので、強引に話を変える事にした。

実際、起きてから少し気になっていた事ではあったので、佐藤さんに聞いてみたわけなんだけれど。

母さんだって倒れた息子をそのまま廊下に放置しておくほど薄情な人じゃないはずだ。


「えっと、昴が倒れた後に、これはやばいぞと思って昴のお母さんになんとか気づかせようと思って、直前に入ったリビングまで行ったんだけど、誰も居なかったんだよね」


そうだ、母さんがリビングに行った所までは覚えている、多分その直後辺りに倒れたのだろう。


「それで、昴には悪いと思ったけど、家の中を探させてもらったんだ」

「そうか、それでどうだったんだ?」


正直、この時点で悪い予感はしていた、ただ自分が平静に返事を返せていたのか分からない。

今まで起こった事や、俺が朝まで床に倒れていた事を考えれば、予想出来てしまうのが悔しくて堪らないのだ。


「家中を探しても、どこにも昴のお母さんは居なかった」

「そうか...」


予想通りすぎて反応に困る、しかしこうポンポンと人が消えていくのはどうなんだろうか。

学園で時間が止まってから、まるで夢の中に居るような出来事が起き続けている。


「飯を食うぞ」

「えっ」


唐突に言い出した言葉に、佐藤さんは驚いた声をあげた。

普通こういった出来事が連続で起きたなら、冷静さを保てないのだろう、いや、唐突に飯の事を言い出した時点で冷静じゃないのかもしれないけど。


「腹に何か入れないと頭も回らない、昨日倒れたのも多分空腹のせいだし、さっさと朝飯にするぞ」

「えと、うん、分かった」


佐藤さんはどうしたらいいのか分からないのか、言葉が詰まりまくっている。

朝飯を食べながら、きちんと起こった事を整理するべきだった、自分達に必要なのは、区切りと、仕切り直しだ。

せっかく昨日公園で話し合ったばかりだというのに、新しい事が起こりすぎている。

リビングに向かいながら、そんな事を考える。


そういえば眠っている間に何か夢を見ていた気がしたのだけれど、いつの間にか内容を忘れてしまっていた。

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