嫌われものの最期
俺は嫌われものだ。
どうして嫌われるのかどうかは分からない。今までずっと、周りには人一倍気を使って生きてきた。だから相手を傷つけたりしたことは一度もないし、しようとも思わない。
それなのに、他のやつらは俺を嫌う。俺は皆と仲良くしたいのに。どうして姿を見せるだけで襲われるんだよ。どうして皆俺の名前をちゃんと呼んでくれないんだよ。そんな思いが俺の心を締め付けた。
死にたい。そう思ったのはいつからだろう。今まで死ぬに死ねなかった自分を捨てようと考えたのはいつからだったのだろう。
「死」に恐怖は感じなかった。これまで長い間生きてきた。結局友達なんて一人もできない生涯だったから、俺がいなくなって悲しむ人なんて一人もいない。それが今ではむしろ好都合だ。
どうやって死のうか。いや、どうやったら死ねるか。この無駄に長く続く息を、どうやったら絶ち切れるのだろうか。そんな考え事をしながら歩いていたから、周囲の事は頭になかった。俺は気が付けば寝床の外に出てしまっていたのだ。
どこからか悲鳴があがったとき、俺は悟った。ああ、俺はここで死ぬんだと。今まで考えてきたことは無駄だった。簡単だったのだ。やつらは俺に消えて欲しいと思っているのだから。俺の息の根を止めようと思っているのだから。
俺の母親も死ぬ時はこんな気持ちだったんだろうな。産んでくれたことには感謝してるよ。でも、こんな一生なら生まれなかった方が良いんじゃないかな、そう思ってる。ごめん。そう想いながら、俺は深く息を吸い込んだ。
「サヨナラ」
振り向くと、「ゴ○ジェット」の文字が眼前に迫っていた。