第4話 木箱投げ
山梨を出て、東京に向かって歩いていった。
その道中、貧乏な家を見つけた。
陸夫は何を思ったか、その家に訪問して、其処にいた少女を見つけると、名前を訊ねた。
「君の名前は、いったいなんていうのかな」
「私は、金崎青海。ね、君は?」
「物部陸夫」
青海は陸夫の二歳歳下だった。
ふたりはすぐに仲良くなった。すると、陸夫は青海が何か悩みを持っているのだと脳の内側で感知して、それを訊ねた。
「最近、うちにおばけ出んだ。それで、いろいろなお寺とか神社とかを頼ってみるんだけど、『そういうのやってない』って門前払いで、頭のおかしい一家っていうふうに思われるんだ」
「それはとても辛かったろう‥‥‥そのおばけが出るっていうのは、家全部にかい? それとも、何処か一つの部屋?」
「家、全部。どうしてそんな事を聞くの?」
陸夫は「俺に見せてくれないか」と願い出た。
青海は「いいよ」と返して、陸夫を家に連れて帰ると、陸夫はすぐに恐ろしい何かがその家に取り憑いているのだと脳裏で分析。
「首を絞めて死んだおばあちゃんの幽霊がこの家に呪いを遺しているんだ。俺は今からその呪いの品を探すので、青海ちゃんも一緒に探してくれる?」
「わかった!」
二人は家中を探して、ようやく仏間に何かがあるのを突き止めた。青海はたまたま仕事を早く終えて帰ってきた父親に頼んで畳を剥がすと、其処に髪の毛がびっしり挟まっているのを見つけた。
「こ、これは‥‥‥」
「これがお化けの正体だ。呪いだよ。理解の追いつかないわけだ。ここはボクに任せてくれないか? 普通ならどうこうできるものと思えないが‥‥‥いまのボクならどうにかできるつもりでいるんだ」
「いいの?」
「ああ。なんといっても、ボクは物部陸夫だからね」
陸夫は頭の中の直感に従って木箱をひとつこしらえると、髪の毛をその木箱いっぱいに詰め込んだ。
「あとは、てきとうな紙に君たち一族の血を混ぜた墨で『金崎族』と書いて‥‥‥それを、この木箱に封印する」
「あとはどうするんだい?」
「海に捨てに行こう。適当なところで呪いごと朽ちていくさ」
海に捨てに行った。
道中、電車の中でその箱が蠢くものだから青海は怯えていた。
しかし、東京湾から遠投すると、気が楽になるのを感じた。
「これで‥‥‥救われたのかな‥‥‥」
「まさしく」
「君は、私にとって‥‥‥いや、我々にとって救世主だ」
「そうでしょうが、言うのは不粋だよ」




