炎の生徒会選挙編1
翌朝。
蒼天高校・体育館には全校生徒が集められていた。
「静粛に!」
壇上に立つのは、現生徒会長――鷹宮レイ。
長身で鋭い眼差し、だがその声には不思議な熱があった。
「昨日の地下施設への侵入事件。これはただのテロではない」
隣に一歩前へ出たのは、副会長の九条ハル。
理知的で冷静、眼鏡の奥の瞳が全体を見据えている。
「我々は掴んだ。ダークネス党は“生徒会選挙”そのものを戦場に変えるつもりだ」
ざわめく体育館。
ユウトはミサキの隣で拳を握った。
その時、会長レイが不敵に笑う。
「……熱い展開だぜ!」
副会長ハルがため息をつく。
「会長、煽らないでください。事実だけを――」
「事実だからこそだ。俺たちの学園を守る戦いが、今始まる」
そこへ、巨大スクリーンが突如ブラックアウト。
闇の中から、あの声が響いた。
「逃げたって無駄さ。それはもうアルゼンチンにはいない」
意味不明な言葉。
だが次の瞬間、ダークネス党の紋章が映し出された。
「フフフ……我々は既に候補者を擁立した。恐怖で票を集め、学園を掌握する」
副会長ハルが低く言う。
「つまり……選挙戦は情報戦、心理戦、そして実力行使」
会長レイはユウトを見た。
「神代ユウト。昨日の戦い、見せてもらった」
「俺が……?」
「お前に一つ頼みがある。次の選挙、俺たちと一緒に戦え」
その瞬間、ミサキがユウトの袖を掴む。
「ユウト……」
胸がまた高鳴る。
だが今回は迷わなかった。
「……やります。俺には守りたい人がいる」
会長レイはニヤリと笑う。
「それでこそだ」
副会長ハルが冷静に補足する。
「作戦会議は30分だ。それ以上は待てない」
地下調理実験室。
エネルギー安定剤の再調合が始まる。
「……なあケン」
ユウトが囁く。
「まさか強力粉も入っているのか?」
「当然だろ。片栗粉だけじゃ粘りが足りねえ」
「料理じゃねえんだぞ!」
ミサキが微笑む。
「でも、計算は合ってるわ」
ユウトが彼女を見る。
「計算……?」
「恋の方程式ってやつさ」
不意に頬が熱くなる。
その頃――
校舎屋上。黒い影が電話を切った。
「候補者の準備は整った。次は公開討論会だ」
闇の声が嗤う。
「選挙とは、最も美しい戦争なのだから」
生徒会選挙。
それは――票と拳と想いがぶつかる、全面戦争の幕開けだった。




