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アーム・ゼロ  作者: 境乃 シキ
10/10

地獄の期末テスト編

生徒会選挙から二週間。

 蒼天高校は、奇妙な平和に包まれていた。


「……静かすぎない?」


 新生徒会長・土御門ねんが、答案用紙の束を抱えながら首をかしげる。


「嵐の前ですね」


 副会長に留任した九条ハルが眼鏡を押し上げた。


「期末テストが来ます」


 ――その瞬間。


 校内放送が鳴り響く。


『全生徒に通達。

 期末テストの難易度を“全面改訂”する』


 ざわめく教室。


「改訂……?」


 神代ユウトが嫌な予感に眉をひそめた。




 職員室前。

 黒い影が、掲示板の前に立っていた。


「……まさにダークネス!」


 黒皇ヴァルハルト。

 停学明け、なぜか補習担当の“特別協力者”として戻ってきていた。


「選挙で負けても、知の戦場は残っている」


 彼は不敵に笑う。


「テストとは、序列を可視化する最も残酷な儀式だ」


 ねんが即座に割って入る。


「お前の席はここではない」


「ほう?」


 黒皇は指で掲示板を叩いた。


「成績下位者には、再試験。

 再試験不合格者は、夏休み補習地獄」


 生徒たちが青ざめる。




 生徒会室。


「……また粉を使うのか?」


 ユウトが警戒する。


 ねんは袋を掲げた。


「今回は違います。理科です」


「それ前も聞いた!」


 ミサキが黒板に式を書き始める。


「今回のテスト、単なる暗記じゃない。

 問題の傾向が――」


 ハルが続ける。


「“長時間集中できるか”を測る設計です」


 ミサキが静かに言った。


「テロメアが関係しているな」


「なんで生物学!?」




 放課後の教室。


「制服姿も新鮮でしょ?」


 珍しく制服のまま参加したねんが言うと、

 ユウトが一瞬視線を逸らす。


「……」


「まだ生温かい」


「何が!?」


「集中力ですよ。今のうちに叩き直さないと」


 机に積まれる問題集。

 黒皇の差し金で、難易度は異常に高い。


 黒皇が通りかかり、嘲笑う。


「努力でどうにかなると思うな」


 ユウトが立ち上がる。


「……それでもやる」


「ほう?」


「選挙で学んだんだ。

 考えるのをやめたら、そこで終わりだって」




 教室は静まり返っていた。


 問題用紙が配られる。


 一問目。


 ――意味が分からない。


「……」


 だが、ユウトは深呼吸する。


(混ぜろ。捏ねろ。考えろ)


 ねんが前の席で、ペンを走らせている。


 黒皇は廊下越しに呟いた。


「生き残れるかな……?」




 数日後。


「平均点……上がってます?」


 教師が首をかしげる。


 ねんが小さくガッツポーズ。


「……勝ちました」


 黒皇は沈黙し、やがて踵を返す。


「……学ぶ者を侮ったか」


 ユウトは笑った。


「テストも選挙も、同じだな」


ミサキが頷く。


「逃げずに向き合えば、結果は変わる」




 夕焼けの校舎。


「次は何が来ると思う?」


 ユウトの問いに、ねんは即答した。


「修学旅行」


「平和であれ!」


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