理由
水面に上がってまず一言。
「誰だてめぇら?」
攻撃的な姿勢で驚いたのか、少し戸惑ったように言う。
「お前こそこんな時間に出歩いて何してるんだ!」
「水ん中のバケモンがちょっと気になって...って!なんであいつらにあんなことしたんだ!別に悪い奴ばっかってわけじゃないだろ!」
「そんなことはない!俺の父親はあいつらに...殺されてるんだ!」
僕はその一言で黙り込んでしまった。
(じゃあ今俺が見ていたのは何なんだったんだよ...)
「ああああああああああああ!また仕事が増えたじゃないか!いいかお前!こいつらはデレクターって言ってな、三百年前に神が放ったバケモンなんだよ!こっちに敵対していて普通は襲ってくるんだ!お前は運がよかったんだよ!わかったならもう迷惑かけるんじゃない!」
「...。」
絶対そんなことはない。
運が良かっただけだとしても、神が作った化け物だろうが何だろうが現に襲ってこない奴と遭遇した。
僕には全員が悪い奴には到底見ることができなかった。
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なんか怒鳴られてすっかり気持ちが醒めてしまったので、一度家に戻ることにした。
家で布団の中に入り、目をつむりその日は疲れていたのかすぐに眠った。
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その翌日、今日も買い出しに行くときに『入っちゃだめだ!』って言って海上市場のおっちゃんに理由を聞いてみることにした。
話を聞く限り、おっちゃんも昔水の中に入りあいつらに襲われたらしい。
僕にも同じ思いをしてほしくなかったのだろう。
僕が水の中に入った瞬間を見ていたらしく、すごく心配された。
ここで怒ってこない限り、いい人なのだとわかる。
しかし、僕のある一言で引き金を引いてしまったらしい。
「いやーおっちゃんも水ん中入ったことあったんだな。」
「あるよ。その時は楽しかったさ。でも後悔もしている。」
「え?なんで?後悔するようなところじゃないだろ。バケモンっていっても、いい奴もいたぞ。」
「...今日は野菜の値段をまけてやらんぞ。」
「え、なんでよ。」
「俺の妻はあいつらにやられたんだ。妻のネックレスまで取られちまった。やなことを思い出させるな。」
「...俺どうしようもなくね?」
今日は定価で買わされてしまった...
いつもがおかしいだけなんだけど。
...やっぱりみんなあいつらを恨んでるのかなぁ。
僕はそんな疑問を抱えて家に帰った。
しかし、僕にとって最悪なことが起こるのだった。




