雨降る世界
---水---
人が生きるために必要不可欠なもの。大切なもの。そんな水を粗末に扱うと、神はどう思うのだろうか。
「人類は水を何だと思っているんだ!いくら何でも無駄にしすぎだ!何か懲らしめる手段は無いのか…」
「神様、こういうのはどうでしょうか。」
「ほう、なるほど。この腐った世界に雨を降らせ続け、水浸しにするのか。そんなに欲しいならもっとたくさんくれてやるってか。いいなそれ!ちょっと下界に降りて宣言してくるわ!」
そういって神様は下界に降り立った。初めて人類に絶望を与える瞬間だった。人類の前にそびえ立った神様はこう言った。
「人間どもよ!水が欲しいか!そんなに欲しいならもっとくれてやる!」
その瞬間世界はまばゆい光に包まれた。光が無くなり雨が降り始めた。その時、人類は感謝した。非常に感謝した。しかし、まだ知らなかった。
その雨はずっと降りやむことが無いのだと。
雨はずっと降り続いた。何年たとうと止むことはなかった。人間たちの歓喜の声は止み、嘆きの声が響き渡った。嘆いたところでその現実が変わることはなかった。そしてそんなことがあった日から300年もの時がたとうとしていた。
「柚希~!今日の分の薬持ってきたよ~!」
「ありがとう!お兄ちゃん!」
何気ない会話をしながら僕、航太はリビングの椅子に腰かける。何てったって毎日妹の薬を作って来るのに疲れてるんだ。ちょっとくらい休んでもいいよね…。でも、柚月の笑顔には癒されてるしまだまだ頑張れるぞ!あ、そうだ、夕飯の材料買わないといけないんだった!
「今日の体調どう?ちゃんと寝れそう?」
「うん、大丈夫だよ」
「なら良かった。」
「それならちょっと外に出掛けてくるからお留守番、任せてもいい?買い物忘れてたから。」
「いいよ!」
そうして家を妹一人にして家を出た。
外はずっと雨が降り続いている影響で300年まえにあったらしい町は浸水されている。そんな状況での移動手段は水の上を走ることの出来るモーターシューズが主流となっていた。そのモーターシューズで航太が行ったところは海上市場である。
「おっちゃん、いつもの分だけ頼む。」
「あいよ。これでええかい?」
「うん、ありがとう」
そこで今日の夕飯の材料だけ買って去ろうとしたときうっかりして、買い物袋を落としてしまった。
「しまった!」
急いで取ろうとしたが、時既に遅し、買ったものは袋と一緒に水の中に沈んでいった。ここでなにを思ったのか落ちた買ったものを取りに行こうとした。この判断が間違いだった。昔からみんな
「水の中には入ってはいけない。」って言ってたのに。さっきのおっちゃんもいつも、
「落としたらもう一回買いにこい。もったいないなんて思うな。」って言ってたのに。




