Prologue. 拝啓、クソ姉さま
主人公の女の子の口が悪いです。
性格がいいとは言えませんのでご注意を!
拝啓 クソ姉さま
いつも通り、周りのことなどクソほども考えずクッソ元気にしていらっしゃると確信しています。
クソッタレな教会が姉さまを聖女だとかクソな宣言をしてすでに二年が経ちました。
この小さな男爵領では姉さまのクソな我がままを聞くのはもう限界だったので、聖女とかいうクソわけの分からない宣託を受けて、姉さまが王都の教会に引き取られた時には誰もかれもが喜んだものです。
ですが、聖女になってもクソ姉さまの脳みそにはクソが詰まったままだったんでしょうね。
魔王の恋人になって王国を捨てるとか、あんた、クソですか。ああ、クソでしたね。それを忘れるとは私までクソになるところでした。
先日、王都から兵隊の一軍がこのクッソ遠くて寂れた男爵領までいらっしゃいました。
せっかく我がままクソ姉さまがいなくなって、必死に領地経営の立て直しの目途が立ったのに、領地没収ですって。クソが。
お父様はクソ姉さまが王都に行ってからやっと胃痛が治って肉もつき始めていたのに、令状が読み上げられた瞬間血を吐いて倒れてしまいました。
ああ、姉さまがいたら「あら、やだ、汚い」とかクソな事言っていたんでしょうね。耳奥でしっかり聞こえました。
あ、全く心配していないと思うけど、バ母様はクソ姉さまが王都に行ったのを追いかけて領地を出て以降知りません。
伝令がなんか捕縛したとかどうとか言っていたけど、どうでもいいことです。きっと姉さま、あ、間違えた、クソ姉さまも気にしていないでしょう。
だってクソ姉さまにとって他人の事なんてどうでもいいんですから。
とりあえず、伝えたかったのは領地は取り上げられ、お父様は療養所送りになり、私も刑罰で遠くの未開の地に労働送りです。
男爵領に戻ってきても、他人の土地なのでそこで何を言っても無駄だということだけ、クソが詰まっている脳に叩き込んでおいてください。
クソなのですぐ忘れると思いますが、せめてクソ聖女を恋人にしたクソ馬鹿大魔王がこの手紙を読んで理解してくれることを願っています。
それじゃあ、もう二度と顔を合わせることもないだろうと思うと感動の涙が止みません。
クソ姉さまはきっとどこにいても自分勝手でクソ元気にしているでしょうから大丈夫でしょう。
私は男爵令嬢でもなくなったので、これから”令嬢なのに平民よりもボロを着ている”とか”令嬢なのにずっと畑で働いている”とか笑われることもなくなるということですっきりしています。
そんなことを言うと、またクソ姉さまが「私のおかげでしょう。感謝しなさい」とか言い出すんでしょうね。やっぱり脳みそクソですね。
私の手紙を検分するために隣にいる兵士さんの顔色が悪いのでこれくらいにしておきます。
では、あなたの妹サリーは死んだと思って残りの人生をクッソ楽しく生きてください。
貴方の奴隷だったサリーより