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ワールドアナウンス

前話出してから1週間で急に伸びててびっくりしてます。皆さんのおかげで総合3000ポイント、ブクマ1000達成しました。本当にありがとうございます。

『【剣術】のスキルレベルが上昇しました』

『【識別】のスキルレベルが上昇しました』


その後は僕の戦闘感覚を戻すためにひたすら先輩に敵を釣ってきてもらってそれと戦い続けているとスキルレベルが上がったというシステムメッセージが届いた。


「シエルさん、剣術と識別のレベルが上がりました」


先輩にそのことを報告する。


「ん、おめでとう」


「スキルのレベルが上がると具体的にどんな変化があるんですかね?」


威力が上がったりクールタイムが短くなったりするのは何となく想像できるが、それだけではないはずだ。


「スキルによって色々違うけど、剣術と魔法だったらスキルレベルが5上がるごとに新しいアーツや魔法を3つ覚える」


「アーツ……そういえば、そんなものありましたね」


普段剣を振るう時にそんなものないから完全に忘れていた。


「忘れてると思った。一応1回ぐらいは使ってみたら?」


{やっぱりわすれてたのかw}

{アーツ使わずに格上エリアで無双するとか}

{↑なんなら使わない方が強いまであるw}


先輩にそう言われたので今使えるアーツを確認する。……スラッシュ、パワースラッシュ、ステップの3つか。パワースラッシュは単純にスラッシュよりも威力が高い代わりにクールタイムが長く技の出も遅いみたいだ。


「それじゃ、次の敵が来たらアーツを使って戦ってみます」



そんなことを話していると早速次の敵が現れた。どうやらホーンラビット2匹のようだ。これは後から知った話なのだが実は北エリアで出てくるモンスターは他のエリアでも出てくるらしい。


では何故北エリアが1番難易度が高いエリアになってくるのかというと、北エリアでは接敵するモンスターが全て2匹以上の群れで現れるからだ。実際問題、数が1匹増えるだけで戦闘の難しさは何倍にも跳ね上がる。数を何とかする方法ももちろんあるがそれも万能ではない。数は力なりという言葉は伊達じゃないのだ。


閑話休題


今はホーンラビットに意識を向けるべきだ。幸いホーンラビットはウルフよりも数段相手するのが楽だ。というのもホーンラビットは攻撃方法が突進しかない。確かに最高速度はウルフよりも速いが、爪や噛みつきなど攻撃手段が多いウルフの方が対処は断然難しい。


僕は戦闘では手札が多いのに越したことはないと思っている。もちろん1つの技を極限まで練度を上げて戦うのは理想系の1つではある。事実、極限まで鍛えた技に対処するのはいろいろな技を使ってくる相手と戦うより難しい。では何故僕が手札が多い方が良いと思っているのかというと、それは単純に時間対効果の問題だ。


たとえば、テストで全教科80点以上を取るのと、1つの教科で100点を取るのはどちらが難しいだろうか。もちろん人による所はあるだろうが、基本的に後者の方が難しいと思う。何故なら一定以上の点数を超えると、そこから1点上げるだけでもかかる労力がそれまでと比べてものにならなくなるからだ。これは剣術でも同じことで一定以上の練度まで鍛えるとそこから先は遥かに時間がかかる。


それにテストの場合は満点という終了地点があるが剣術の場合終わりはない。そんな中でも1つの技にこだわるのは個人的にはナンセンスだ。


要するに何が言いたいのかというと1つしか攻撃手段がないホーンラビットの相手はいくら慣れないアーツを使うといっても楽勝というわけだ。



ホーンラビットの突進をしっかりかわし、接近してからアーツを発動させる。


「【スラッシュ】」


剣が青白く光り少しの硬直の後、僕の体が勝手に動き出す。確かに素人よりは断然鋭い剣筋でホーンラビットを切り裂く。しかし、急所に当たることの出来なかった攻撃では死点打ちのバフが乗らないため大したダメージにならない。


追撃を加えようと、攻撃を与えたために少し距離が空いたホーンラビットに接近するためにステップを使う。


「【ステップ】」


体が前に引っ張られる感覚を覚えながらホーンラビットの目の前に接近する。先程の内容を学習した僕は相手の首に当たるように調整してアーツを発動させる。


「【パワースラッシュ】」


今度はしっかり相手の首に当たったことで死点打ちのバフも乗り、アーツもスラッシュよりも威力の高いパワースラッシュを使ったことで半分以上残っていたホーンラビットの体力を削り切る。


完全に学習した僕は2体目のホーンラビットには最初から急所にアーツを当ててあっさり倒すのだった。しかし、



「一応倒しましたけどこれは……ナシですね」


「ん、だとは思ってた」


{ホントにアーツ使わん方が強いんかいw}

{確かに使わない方が倒す時間短かった}


僕も先輩も予想していたことだがアーツを使った戦いは僕には向いていないようだ。というかアーツのいい所を挙げる方が難しい。もちろん素人が使う分にはいいだろうが多少剣の心得があれば利点はほぼ無い。普通に振るうのに比べて技の出が遅いし、テキストに書いてなかったが技後硬直もあることが使ってみて分かった。そのくせ、火力は使ってない時と大差ない。


強いて利点があるとすれば、ステップだろうか。体を引っ張られる感じなので自力では立て直すのが不可能な体勢から無理矢理立て直すことができそうだ。もちろんそんな体勢になるなと言えばそれまでだがそれでも使い道があるだけ他よりマシだ。


「多分僕は2度とアーツ使わないです」


「ネージュはそれでいいと思う。それに高度なpvpになればなるほどアーツの使うタイミングが難しくなってくると思う」


確かにアーツは発動させてしまったら後はシステム通りにしか動かないため相手に読まれてしまう恐れがある。そう考えるとやはり僕はアーツは使わなくてもいいだろう。


『ワールドアナウンス、ワールドアナウンス。ただいま西エリアのボスがプレイヤー名、《フィリップ》、《アラン》、《フレデリック》、《ナタリー》、《エレーヌ》によって討伐されました』


そんな話をしていると突然ワールドアナウンスが流れた。ボスの討伐か。


「ああ、フィリップの所か」


先輩が知ったようなことを言う。


「知り合いなんですか?」


「知り合いってほどでも無いんだけど、一応ベータ時代1番強かったパーティーのリーダーだから少しはね」


なるほどベータ時代のトッププレイヤーだったのか。東じゃなくて西エリアのボスが先に倒されたのが少し気になっていたがそれだったら納得だ。


「どれくらい強い人なんですか?」


「ネージュとは比べ物にならないぐらい弱い」


少し興味が湧いたので話を聞いてみると想像以上に辛口の評価だった。


「oh……随分毒舌ですね」


「毒舌? そんなつもり無い。純粋な事実。それにフィリップの所は個人の力というよりはチームワークの良さの方が目立つ」


なるほど、確かに統率の取れた集団は個人の実力以上の力を発揮するものだ。そんな風に納得していると、


「ま、そのチームワークも私とネージュに比べたらそこら辺の雑魚と変わらないけど」


また毒を吐くのだった。


「やっぱり嫌いでしょ、シエルさん」


「ネージュも会ってみたら分かる。フィリップのウザさが」


{あ〜、フィリップは確かにねー}

{悪い人ってわけでは無いんだけどね笑}

{くそ、あのイケメン死ねばいいのに}

{↑落ち着け、まあ、完全に同意だが}


どうやらコメント欄でも嫌っている人が一定数いるようだ。


「西とはいえ、フィリップに先越されたのはムカつく」


どうやら先輩はフィリップさんのことが大分嫌いらしい。


「ネージュ、私たちは北のエリアボス倒すよ」


フィリップさんに先を越されたのが余程むかついたのか、そんなことを言い出す。


「え、今からですか!?」


突然のことだったのでびっくりしながら先輩に尋ねる。


「今から!! って言いたいとこだけど先にネージュの刀、新しくしようか」


さすがに今すぐにという訳では無いようだ。確かに今の刀でボスと戦うのは多少不安が残る。武器を買いに行くというのは良い判断だろう。ただ問題があるとすれば、


「サービス初日ですけど、良い刀売ってる所ありますかね?」


売っている所があるかどうかだ。


「多分、問題無い。ベータ時代に商会やってた優秀な知り合いがいる」


どうやら先輩に当てがあるようだ。補給線を構築するのは重要な事だ。ここは先輩の恩恵にあやかろう。


「あ、僕お金全然持って無いです!」


大事なことを忘れていた。僕は最初にプレイヤーに与えられる1000Gしか持っていない。流石にそれでは足りない気がする。


「そこは心配する必要はない。私たちはどこで戦ってると思ってるの?」


「え、北エリアですけど。あ、そうか」


「分かったみたいだけど、そうここは北エリア。他のプレイヤーは行っても西なんだから北エリアの素材を売れば充分お釣りが出る。」


確かにそうだった。ここでも問題無く戦えているせいでどうもここが僕ら以外にプレイヤーを見かけない1番難しいエリアだということを忘れてしまう。


「それじゃ、街に戻りましょうか」


「そうですね、シエルさん」


そうして、僕たちはボス戦に備えて装備を整えるために街に向かうのだった。



次回でボス戦まで行けると良いなあ。行けるように頑張ります。

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