表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/12

配信? もう始めてるけど?

前回1週間に1話は投稿したいといったばっかなのに遅れてしまい、すみません。思ったより正月忙しかったもんで笑。明日にもう1話出せるよう頑張ります。

視界いっぱいの光が収まると、目の前には石畳の上に木造の建築物が並ぶまさにファンタジーといった街並みが広がっていた。大注目のゲームのサービス開始直後とあって多くのプレイヤーで賑わっている。中には、どう見ても初期装備ではない格好をしている者がいるが恐らくβテストでの特典だろう。


「それにしても本当にリアルな世界だな。風を受ける感覚や、どこからか漂う美味しそうなにおいまで現実そのものって感じだ。おっと、ぼんやりしている場合じゃなかった。早く先輩と合流しないと」


βテスト参加者の先輩は自分より早くキャラクリを終えているはずなので急がなくては待たせてしまう。そう思った僕は約束の噴水の方向へ足を進めるのだった。









噴水の近くまでたどり着くと、長い水色の髪に青い瞳の美しさ女性がいた。周りの男性プレイヤーもチラチラそちらを見ている。誰が話しかけに行くのか牽制し合っているようだ。



「あの人はいつも周りの視線を集めるな。早く行かないとナンパされそうだ」



そう思った僕は小走りで先輩の元へ向かう。



「お待たせしました。先輩」



「ん、そんな待ってない。名前は……ネージュね。フランス語にしたんだ」



「ええ、英語は安直すぎると思ったんで。そういう先輩は……ああ、やっぱりチャンネル名通りシエルなんですね」



配信をする関係でそうだろうとは予想していたがズバリ的中したようだ。


「ん、そっちのがわかりやすいから」


一通り会話をしてから、改めて先輩を見る。髪や瞳の色は変えているが他のところは現実と変えていないようだ。切れ長な目に整った鼻筋、10人中11人が美人だと評価する容姿をしている。


「いつもの黒髪の先輩もいいですけど、水色の髪も似合ってますね」


「ん、ありがと。あ、ここでは先輩じゃなくてシエルって呼んで」


名前で呼ぶよう要求される。


「分かりました。シエルさんですね」


「呼び捨てでいい」


そのように言われるが年上の人を呼び捨てにするのは憚られるため何とかさん付けを許してもらうと、若干不満気に、


「戦闘中とかは1秒を争うんだからそういう時は呼び捨てにしなさいよ」


と言われた。


「ええ、それはもちろん、分かってます。それにしてもシエルさんも人間族なんですね。てっきり獣人族の狐か、エルフにするものだと思ってました」


ちょっと期待してたんだけどな。もふもふな先輩。


「ああ、説明テキスト読んだら魔法使うならそのどちらかが向いてそうに見えるけど実は罠があってね」


「罠ですか? いったいどんな?」


あの説明にそんなものあっただろうか。不思議に思い尋ねてみると、


「確かに狐族やエルフは魔法の威力が上がったり消費MPが低かったりするんだけど、使える属性が決まってて、狐族の方は火属性だけで、エルフは風属性だけなの」


まさかそんな罠があったとは。このゲームでは魔法は、火•水•風•土•光•闇のよくある6種類がある。まあ、これも種族と同じで隠し属性があるかもしれないが。そんな中で魔法をメインに戦おうとした時に1つの属性しか使えないのは大変不便だ。その属性に耐性を持ったモンスターがいたら突破するのに苦労するし、対人戦でも相手に読まれやすくなる。


「それをテキストに書かないの酷く無いですか?」


運営の悪意を感じてしまう。


「このゲームではよくあること。どうもここの運営は詳しい説明はせずに自分で体験してほしいらしい」


確かに最初から何もかも分かっていても面白くないか。ひとまず納得した僕は先輩とステータスの見せ合いをした。先輩のステータスは



名前:シエル

種族:人間族

性別:女



スキル

火属性魔法lv2

風属性魔法lv2

闇属性魔法lv1

歩行術lv1

錬金術lv1



lv2のスキルがあるがこれはβテスターだからだろう。よく見れば先輩が羽織っているローブもどこからどう見ても初期装備ではない。ステータスで気になったところを質問してみる。



「シエルさん、この歩行術っていうスキルはどんな効果があるんですか?」


「歩行に関する行動にアシストがある」


「つまりどういうことですか?」


よく分からない返答に詳しい説明を求める。


「たとえば、森とか砂場とかの歩きにくい地形の場所でも普通の陸地に近い感覚で歩行できるようになる」


名前からして微妙そうなスキルだったが思ったより有用そうだ。


「名前より有用そうですね。シエルさんが不遇スキルをとってしまったのかと思いました」


そう冗談めかして言うと、


「不遇スキル取ったのはネージュの方」


大きなため息を吐いてそう返された。


「え、そんなつもりないんですけど。どのスキルが不遇なんですか?」


「死点打ちに、テイム、料理も不遇。」


oh……何と5分の3が不遇なようだ。


「えっと、どういうところが不遇なんですか?」


どれも結構使えそうだが。


「死点打ちは相手の急所にピンポイントでしっかり攻撃を当てるのが難しいから活かせなくて、不遇って言われてるけどこれに関してはネージュなら当てられるから問題ない。むしろナイス選択だと思う」


なるほど、そういうことか。確かにその理由なら僕なら問題なく運用できるだろう。


「テイムに関しては確率なのか、条件があるのか分からないけどなかなかテイム成功しないから、料理に関しては大したバフもかからないからってのが不遇と言われる理由ね」


「いや、待ってください。料理スキルを使えばテイムが成功しやすくなって相性良いとかありません?」


「それも試した人がいる。自分で作った料理をあげようとしたそのプレイヤーは料理を地面に置いた瞬間モンスターに襲われて殺された」


oh…僕の考えたコンボが完全に否定されてしまった。ということは、死点打ちはいいとしても僕は5つのスキルの内2つも不遇スキルをとってしまった完全にスタートダッシュに失敗した人じゃないか。そう思い落ち込んでいると、


「でもネージュの場合、スキルはあんまり関係ない。そのリアルスキルで十分お釣りがでる」


と、先輩が慰めてくれる。その慰めを受けて僕は気持ちを切り替える。切り替えの早さには自信がある僕は


「そういえば、配信はいつから始めるんですか?」 


先輩にそう尋ねる。すると、



「配信? もう始めてるけど?」


そんな、とんでもないことを言うのだった。



「はぁー!?」










あけましておめでとうございます。今年も宜しくお願い致します。

あ、あと先輩の呼び方についてですが、会話の時はシエルさんと呼びますがそれ以外では先輩のままで行きます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] イチャイチャ見られてたんだねw
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ