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71,合流。

 


探索迷宮(ダンジョン)〉を経由して、ラン要塞のあったところに戻った。


 しかしそこは、すでに『かつてはラン要塞のあった』場所。

 すっかり破壊の限りを尽くされて、石ころが転がっているだけ。そしてなぜか、国王軍の多くの兵たちがゾンビとなって彷徨っている。

 すなわちユリシアたちのような、意志をもつ〔不死者アンデッド〕ではなく、ただただ彷徨い歩くだけの死体である。

 私の死霊魔導ならば、確かに死体をゾンビ化できるけども、なんか死者への冒涜っぽいので、基本しないことにしているんだけどなぁ。


 ユリシアがいないので、ここは邪神ヨグに解説役を頼もう。


「死竜に殺されると、自動でゾンビ化される。死竜が〔災厄〕の由来」


「それは確かに災厄という感じだよねぇ。それで魔神はどこに行ったのかな? あんなに大きなもの、近くにいたら気づくだろうけども」


 瓦礫のひとつが動き、そこから半巨人のダクが姿をあらわす。


「ダク! 無事だったんだねぇ、何よりだよ!」


「あっしだけではありやせん、陛下」


 ダクがかばっていたのは、大地にあいた竪穴だった。これの入口を塞いでいた? いや、そもそもこれはどこに通じているのだろうか──


「もしかして〈探索迷宮(ダンジョン)〉??」


 竪穴には梯子があったので、それで降りていく。そこは確かに〈探索迷宮(ダンジョン)〉。多数のケルゴの民と、王国軍兵士が敵味方関係なく避難していた。その中には、わが死霊戦士の姿も。ドラゴ、サラマンダー(美女モード)、アンジェラ、チキータ。


 ドラゴが号泣しながら、私にしがみついてくる。


「おおおおお! 姐さんんんんん!!! 無事だったんですねぇぇぇええええ!!!」


 うんうん気持ちは嬉しいけども、鼻水がつくからやめようよ。


「ここは〈探索迷宮(ダンジョン)〉の一部のようだけども、見たことのないところだね。何より、魔神襲来後、私やリスダンは何度も〈探索迷宮(ダンジョン)〉を経由しているのに、みんなとは会ってないよ」


 こういうときユリシアがいないので、では誰が説明担当になるか。このメンバーだと、それはアンジェラの出番だった。


「それは簡単なことだよー、冥王へいかー。ここは確かに〈探索迷宮(ダンジョン)〉だけども、ほかの場所とは隔離されているんだよねぇ。たぶんマーヴィンも自覚なく作ったものじゃないかなぁと」


 さらにアンジェラの説明を整理すると、こういうことらしい。

 あのとき──魔神襲来からの死竜が自動召喚されての、これはもう異次元なバトルが展開されたとき。


 ラン要塞に残っていた組。すなわちアンジェラ、サラマンダー、ドラゴ、チキータ、ダクは一か所に集まっていたが、とにかく対応はバラバラ。

 ドラゴは、『いまこそ漢を見せるとき!!!』と突撃しようとし、それをサラマンダーが止める。サラマンダーはまだ火竜モードだったが、同じ『竜』枠でも、死竜は別次元とすぐに分かったと。

 その死竜でさえも手こずる魔神は、これはもう文字通り『神々の領域』、自分がどうこうできるレベルではない。


 アンジェラはといえば、これはもう死んだなと覚悟しつつも、これはこれで『理をのぞいた自分の最期』としては、ふさわしいと達観。

 一方、一番冷静だったのがチキータで、とにかく鼠の尺度からしてみたら、人間も魔神も『バカでかい』ことに変わりはない。

 そんなわけで、唐突に出現した竪穴に真っ先に気付いたのもチキータだった。なんといっても、ほかのメンバーは魔神たちが戦っている空ばかり見上げていたので。


 アンジェラはさらに続けた。


「その竪穴から慌てて降りてみたら、この〈探索迷宮(ダンジョン)〉の隔絶された一部だったわけだね。おそらく、冥王陛下の眷属であるうちらのピンチに、〈探索迷宮(ダンジョン)〉が自動で反応し、避難場所を作ってくれたんじゃないかなぁ。ちなみにケルゴの民やら王国軍の兵士やらも、できるだけ避難させようと提案したのは、うちなんだけど。問題なかった?」


「いい仕事してくれたよ、アンジェラ」


「だと思ったよー。たださ、竪穴の出入口に『蓋』はなくてね。これだと外からの破壊の衝撃波とかが入ってきちゃうじゃん? そこを、ダクが自分の身体でふさいでくれたわけ。さすがだよねぇ。ただ、そのとき脳震盪かなんかで気絶しちゃったみたいでね。ほら、うちの回復魔導は〔不死者アンデッド〕には使えないから。ついさっきまでダクが意識を失っていたものだから、外に出ることもできなかったんだねぇ。あの巨体だから、ドラゴをもってしても持ち上げられなかったわけ」


 するとドラゴが、


「面目ないです、姐さん。そのせいで、姐さんたちに自力合流することができなかったんです」


「うん、まぁそれはいいけどさ。みんなが無事で良かったよ。みんなだけでなく、できる限りのケルゴの民や王国軍兵士を救出できたのも、とてもよかったよね。すると、あと生死不明なのは、ユリシアちゃんとガリーナだけだね」


 リスダン、ヨーナス、邪神ヨグが降りてきたところで、私はローレライとビリーロストも無事であることを話した。


「姐さん。新たな眷属ですかい?」


「うん? ああ、ヨグと会うのははじめてだっけ。紹介するよ。邪神のヨグ。新たに加わったから、親切にしてあげてねー

 …………あれ返事は? みんな目を丸くして絶句して、どーしたの?」



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