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41,一人軍隊。

 


 クック少将に、私が死霊使い(ネクロマンサー)であることは、ここだけの話にしておいてもらうように頼んだ。

 ほかの士官とかにまでネクロマンサーとバレたら、私の平穏な士官人生が台無しだもの。


 なるほど。確かに片方には邪神の派閥があり、さらに『第三の勢力』としての〈古き者たち〉がいる。王都には、〈ベルリン〉もいる(ちなみに、うちの者たちの中では、〈古き者たち〉と〈ベルリン〉は同じ勢力ではないか、という説を唱えている人もいる。ガリーナとか)。


 とにかく、こんなにまわりが敵勢力だらけなのに、はたして私は平穏無事な士官生活なんて送ることができるのかな? だけど私は諦めていない。

 諦めちゃ、ダメなんだ! 


 というわけで、私は1個分隊の指揮を任された。王国軍では3個分隊で、小隊とする。1分隊は10人の歩兵からなるのだ。


「さぁ、みんな! 私に、ついてこーい!!」


「「「おおー!」」」


 はい、全滅させてしまいました。


 初めての任務は、見回り。このダードン要塞の防衛を固める仕事。といっても敵襲は予想されていないので、安全な仕事のはずだった。

 そこで私は、分隊長として部下たちを引き連れ、意気揚々と警備についたわけだけども。気づいたら、みんな殺されていたわけだよ。


 私がぽかんとしていると、闇がかたまり人の姿となった。大きな鎌を肩にかついだ、全身は黒い渦だが、顔だけは白い肌の男が。


「なーんだ、こりゃ? 冥王に付き従っているから、闇の眷属の手練れどもかと思ったが、ただの人間。それも雑魚どもときたもんだな」


 私の前に、骸骨魔導士スケルトンメイジが自動召喚される。


「わがあるじよ、私の後ろに隠れていてください。死神(デス)、忌まわしき邪神の眷属よ。どういうつもりだ? わが(あるじ)と、邪神ヨグは停戦状態にあると聞くぞ?」


「だーから、冥王には手を出してねぇだろ。細かいことを言う骸骨野郎だ。あばよ」


 と言って、死神(デス)とやらが消える。危険がなくなったということで、骸骨魔導士(スケルトンメイジ)も冥界に帰った。

 で、私と、私の可愛い部下たちの死体だけが取り残されたのだった。


「なんじゃこりゃ」


 というわけで翌日。再度、クック少将と会う。

 私が通常の部下を持っても、どうやら邪神の眷属の『遊び』で殺されてしまうようだ。これでは気の毒なので、もう部下を持つことはできない。


「承知いたしました。ですが、これからはどのように任務を行うのでしょうか?」


 とクック少将。私の超上官なのに、低姿勢すぎるぞ。


「うん。以前、〈王の右手〉が『一人軍隊』構想を話していたけども、それでいくしかないみたい。私は私で、闇の眷属たちを使うから、まぁそんな感じで。任務を割り当てるときは、ひとつの軍に割り当てると思ってください。お願いします」


 というわけで──

 ダードン要塞に配属されるにあたって、いったん自由にしていた闇の眷属たちを呼び寄せる。

 剣の修行に出ていたリスダン。

 キャッスルアンロックに戻っていた真祖ガリーナ。

 人魚族の海底都市に戻っていたローレライ。

 半巨人の人権を得るため議員に立候補したダク。

 王都で、偽名で〔ヒーラー〕医院を開業したアンジェラ。

 赤毛の女への執着を消すため、お寺で修行をしていたビリーロスト。


「やぁ、みんな。それぞれ自分たちでやりたいことを見つけていたところ、呼び出して悪いね。どうも、これからは死霊軍として活動することになりそうだよ」


「私が修行していたのも、すべてはわが君の力となるためです。私は、あなた様の剣なのですから」

 とリスダン。


「うちは構わないよー。正直、王都でヒーラー医院をやっていても、せいぜい風邪か骨折を治すくらいしか力の使いどころもないし。ほら、重病人は、うちみたいな『無名』のところにはこないからさー」

 とアンジェラ。


「あの、わたし、最近はお母さまの厳しさもより増していたので、呼んでもらって、嬉しいです! 家出です!」

 とローレライ。


「あっしも、冥王親分のところに戻ることができて、うれしいです。親分が名をあげてくれることが、半巨人の人権にもつながると思うので」

 とダク。


「オイラの心は、すでに静かな湖面のごとく。もう赤毛の女に反応はしません────この要塞に、赤毛の女性兵が??? ぬぉぉぉぉぉぉぉ」

 とビリーロスト。


「そうそう、べつにいいんじゃない? アタシたちが闇の眷属になったのも、冥王ちゃんに仕えるためだし。まぁ、あたしは定期的に、キャッスルアンロックに戻って、血税をとらせてもらうけどもねぇ」

 とガリーナ。


 このメンバーに、元からいたユリシアとドラゴが加わる。


 さらに──銀髪の美男子が、なんか増えている。


「えーと、どちらさま?」


「僕は、人狼のヨーナスといいます。冥王陛下が兵を集めていると聞きまして、遠くの地から飛んでまいりました。どうか、この最強の種族たる人狼の力、思う存分に使ってください!」


 人狼が増えたのはいいんだけども。

『最強の種族』なんて言うから、〔不死者アンデッド〕のドラゴと、真祖のガリーナが反応しているじゃないか。もう、ひとこと多いよね。


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