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 彼は男の背後について歩く。道すがら人骨と化した人間だったモノや、それが何らかの意思を持って襲いかかってくるのを、男は魔術と呼ばれる不可思議な技で退け、死者にやすらかな眠りを与えた。

「ここに踏み入った人間が戻ってこないって話、どうやら本当だった様だな、うじゃうじゃ白骨化した死体が魔力を孕んで、モンスター化し襲いかかってきやがる、それも十や二十じゃない、

百や二百単位、この様子だとまだまだいるかもな」

「ここにはいったい何がいるんだ……?」

「魔獣とだけ聞いているが、こいつはきっと只の魔獣じゃあないな、おそらく神話級、ただのフィジカルで強いやつじゃなく、特殊な力を持っていると見た、少し気合いれないとな」

 男は道を進む。その背後について彼は歩く。洞窟に入って一時間ほど歩いた頃、なにやら広場の様な開けた空間に出た

「ここは……」

「坊主!気をつけろ!」

「なっ!」

 その瞬間彼の身体は空中に浮き上がり天井に張り付く格好となった。何かが彼の服を掴んでぶら下げている。

 それは遠目には蜘蛛の様に見えたが二足歩行し天井に逆さまに立っていいるのは明らかに蜘蛛のそれではない。それは牙で彼の身体を固定しぶら下げていた。

「魔術師……貴殿の身のこなしには一分の隙もなかったが、この男は違ったようだな」

「テメエ、喋れんのか、そいつを放せ、悪いが俺には人質作戦なんて通用しねえぞ」

「ふっ……今まで、この男を庇いながらこの大広間まで来たのは分かっておる、嘘はつくでない」

「そうか……なら実力行使だ!」

 男の手から火柱が上がる。その火柱は天井に立つ奇怪な蜘蛛人間に向かって焼き尽くさんとばかりに迫るが……。炎が蜘蛛人間に触れようとした刹那、蜘蛛人間は高速で壁を這い、男の背後を取るように動いた。

「結界式、一の式!」

 だが男も無策ではない。蜘蛛男が吐き出した糸を、周りに結界を張ることで防いだのだ。だがそれでは彼の命は救えない。

「ほうこの男の命は惜しくない、さっきの言葉嘘ではなかった様だな」

 蜘蛛男が彼の首筋に牙をたてる。その瞬間、男は背後に向き直り駆け出した。速い、数米の距離を一瞬で詰める。男の姿が変わっていた、銀色の足、黄金の腕、大仏の様な顔。

 これではまるで”変身”したかのようではないか。

「速いっ!」

 蜘蛛男は気づく。だがその瞬間はもはや遅かった。蜘蛛男の首は男の手刀により切断され言葉を話すことは不可能となっていた。

「坊主!大丈夫か!」

「ああなんとかね……それより今の姿は?」

「びっくりしたか、いやね、俺は神様に取り憑かれてるんだよ、そしてその権能の一分をこうして自由に行使出来る契約を結んでる、この力があるから、俺は魔獣討伐の任に選ばれたのさ」

「神様、それってキリストや仏陀とか、ギリシャ神話だとゼウスとかの神様か?」

「お前の言ってることはよくわからんが、俺に取り憑いた神は、宇宙からこの惑星〈ホシ〉に飛来したものだ、その神はこの星では人間に寄生することでしか活動できず、その見返りとして取り憑いた人間に権能の一部を授ける、そういうギブアンドテイクな関係さ」

「それって神というより、使い魔みたいだな、俺の世界でいうFateシリーズのサーヴァントみたいな」

「お前ほんとに良くわからないことばかり喋るな、まあいいそしてこの神に適合者として認められた者だけがその資格を得る、誰でもいいってわけじゃないんだぞ」

「つまりアンタは、そこいらにいる凡蔵共とは違うというわけか、俺は当たりを引いたと」

「こんなところに迷いこんだ時点で外れかもしれんがな」

男はシニカルに笑うと、

「恐らくさっきのは魔獣の門番だ、ここらへんに骸が多いのも頷ける、恐らくヤツにやられた者共の末路だろう、俺も権能を使っていなかったらやられていた、最深部は近いと見た、気を抜くなよ」

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