呪いの行方
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アクアの言葉に紅さんが真面目な顔で尋ねた。
「シオンの魂に付着していた呪いはお前が浄化したんじゃなかったか?」
「ええ、聖水の効果のある清浄な水にシオンを浸して、黒く濁った呪いのアクのようなものを出し切ったわ」
なんかシオンで出汁を取った感じに聞こえますね。
「おそらくその前に、呪いの一部が浄化する前に自我を持って逃げ出したのだと思います。シオンが豪運のスキルを手に入れた時ぐらいにね」
なんと!一同がどうするかとザワザワと話始めた時、
コソッと蒼さんがアクアの耳もとで囁いた。
「アクア……貴女、シオンの呪いが珍しいかったから保管しておこうと思ったのでしょう?呪いの原液はしっかりと処分しなさい。でないと、私も怒るわよ」
ギクッ
アクアは驚いた顔して蒼を見つめた。
「シオンに害悪のある物はしっかり処分しましょうね♪私も立ち会うわ」
アクアはもうダメだと悟り降参の手を上げた。そして、呪いを感じ取れるアクアに城の探索が命じられた。
「私も近付けばわかると思うけど、アクアが頼りね。お願いアクア。シオンを守って」
「わかっているわよ。素敵な絵を描いてくれるシオンを私も気に入っているのだから」
国王はすぐに外に出ると曲者が侵入した可能性があると言って護衛の近衛騎士達に命じて距離を取りながら着いてくるよう命じた。
「ここから結構高い位置…………おそらく王族の居住スペースから感じます」
!?
「なんだと!?すぐにその場所にいる者を退避させよう!」
「いいえ、呪いは人に取り憑いている場合があります。このまま抜き打ちで向かいましょう」
アクアを先頭に進むと、シオンが口を開いた。
「どうして王族の居住スペースに呪いがいるのかな?」
「おそらくだけど、もしこの国の王族………トップを操れるのなら好き勝手に権力を振るえるからじゃないだろうか?」
ライト王子の言葉に国王と宰相は震えた。
「まさか………しかしそれが本当なら危ない所であったな」
「ええ、まったくです。しかし本当に『呪い』などあるのでしょうか?」
古龍や大精霊の言葉を否定するつもりはないが、見たこともない物をいきなり信じる事は難しいのだ。
「あなた達が無事だったのは我々の魔法の指輪のおかげだと言う事を忘れないで下さいね。毒無効の他に害をもたらす物からもある程度防いでくれるのだから」
「この指輪にそこまでの力が!?」
改めて御礼を言うとようやく目的地に近付いてきた。
王族のプライベートの居住スペースの場所に来ると蒼さんを始め、シオン達ですら臨戦態勢を取った。
「これは…………」
「空気が重いですね」
「確実に【いる】な!」
向こうもシオン達が近付いてきた事に気付いているようだった。
異質な雰囲気が近付くほど強くなっていった。




