表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢は大好きな絵を描いていたら大変な事になった件について!  作者: naturalsoft


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

90/107

許してあげてっ!?

シオンの絵が強奪された事はその日の内に国王の所まで伝わった。


「なんだと!?おい!私に報告する前に、全ての検問所に通達したんだろうなっ!なに!まだだと!すぐに閉鎖して国外………いや、王都から逃がすなっ!!!」


シオンが絵を渡したのは学校が終わった後なので夕方前、時間にして16時頃である。


馬車にて、バーニングハート公爵家に向う途中で、人通りの少なくなる田畑が広がる街道で襲われた。馬車には3人の護衛も着いていました。


しかし、1番に馬車を操縦している従者を人質に取られて、動けない内に薬で眠らされたそうです。

使用人は必死に絵を守ろうと抱き抱えていたことで乱暴されたのです。


そして──


「失態だったな」


「「「申し訳ございません!!!」」」


護衛の騎士達は平伏して侘びていた。

目の前にはシオンの父親であるカール公爵が黒いオーラを出しながら座っていた。


「お前達はまだシオンの絵の価値を理解していなかったのか?」


護衛の騎士達は激しく首を横に振った。


「いいや、理解していない!今回、お前達や従者が無事だったのは相手が大事にしたくなかったからだ。絵を盗まれただけと、死傷者が出たのでは、調査の本気度が変わってくるからだ」


カール公爵はここで話を区切った。


「だが、それは相手の都合に過ぎん!もし絵が見つからなければこの国が滅ぶかも知れないのだぞ!」


!?


いやいや、それは言い過ぎでは?と、普通は思うが、騎士達は心当たりがあり、真っ青な顔が真っ白になっていた。


「………ようやく気付いたか。『あの方々』が動きだすぞ」


騎士達はガバッと立ち上がると素早く腰をくの字に曲げて大声で叫んだ。


「この度の失態、命を賭けてお詫び申し上げます!ただ、絵が無事に見つかるまでは調査に加えて下さい!!!」


カール公爵はため息を付きながら許可した。


「お前達は貴重な目撃者だからな。調査に協力しろ。罰としてあの方々の側に付いて指示を仰げ」


騎士達はその罰の恐ろしさに大量の冷や汗を描いていた。


「俺達……死んだ…………」


ドナドナ~される感じで部屋を後にするのだった。


そしてガゼボテラスに向かうと──


「よく顔を出せたな?まだ死んでいなかったのか?」


赤髪の女性、古龍ファフニールは騎士達の訓練を見ている。その面倒を見ている騎士達の失態なのだ。機嫌が悪いのは当然だろう。


「まぁまぁ、失態はしましたが、生きていれば挽回できるチャンスもありますから。短気は起こさないでね」


アクエリアスは騎士達を庇った。


しかし──


「──でも、盗まれたのが私のお気に入りの絵だったのは頂け無いわね?」


急に周囲の空気が重くなった。騎士達は血の気の無い顔で涙を流しながら謝った。


しかしアクエリアスや古龍の母親達はしばらく無言でみていた。そのプレッシャーで倒れそうになった時、とある者がやってきた。


「お待ち下さい!全ては私のせいなのです!私はどうなっても構いません!どうか騎士様達に寛大なご処置をお願い致します!」


飛び込んできたのは馬車を操縦していた従者と絵を預かった使用人であった。

そして前にくると土下座をするのだった。


「黙れ。騎士達の性分はお前達を守り、絵を守るのが仕事だった。その両方を守れなかったのは職務怠慢としかいえん」


まったくの正論であった。


「しかし、騎士様は真っ先に人質となった私の命を守るためにあえて汚名を被ったのです!この後、どうなるかわかった上で。どうか私の命に免じてお許し下さい!」


必死に頼み込む二人に深いため息を着いた。


「本当にこの公爵家の人間達はな…………」

「そうね。悔しいことに人望が厚いのが玉にキズよね」


古龍の二人は『理解』していた。

ただの職務怠慢ならあっさり殺していただろう。しかし、人命のために騎士の1番の職務である人の命を守る為に敢えて動かなかったと理解しているのだ。

そして使用人や従者も公爵家に忠誠を誓っている事も理解していた。


「お前達は運が良かっただけだ。騎士達が手を出さなく殺されていたら、人質となったお前達も殺されていた。少なくとも従者1人を犠牲にして絵と使用人を守るのがベストだったのだ」


「それは………理解しておりました」


騎士の1人が絞るような声で話した。


「ならばどうしてそうしなかった?」


「……シオンお嬢様が悲しむからです」


!?


アクエリアスと古龍の二人は目を開いた。


「馬車を操縦する従者はいつもお嬢様を送迎しており、シオンお嬢様はいつも御礼を言っていました。たまにお土産など渡しておりましたので」


今度は大精霊のアクエリアスが尋ねた。


「どうしてそれを最初に言わなかったのかしら?」


「シオンお嬢様のせいにしたくなかったからです!お嬢様を悲しませるくらいなら命を捨てる覚悟は出来ております」


騎士達の返答にこれだからシオンはと、小さく呟いた。


「わかった。せっかく拾った命だ。大事にしろ。現在、絵の行方を追っている。アクエリアスの状態保存の魔力を辿ればおおよその場所が分かる。おまえ達も着いてこい!」


「「「はっ!!!」」」


こうしてこの世界の最強の生物達が動きだした。








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ