お茶会①
シオン達はスカーレットの自宅であるアークモン侯爵家にやってきた。
「ここがスカーレットちゃんのお家か～」
「シオンのお家と引けを取らないくらい大きいですね～」
「そだねー」
馬車から降りて三階建ての屋敷を見上げながら感想を述べた。
このシオンとアリスの二人の感想にメリッサの頭が痛くなったのは言うまでもない。
屋敷の入口でスカーレットが出迎えてくれた。
「いらっしゃいませ！お待ちしておりましたわ♪」
真っ赤なドレスに身を包んだスカーレットが両手を広げて感謝を述べた。
「本日はお招き頂きありがとうございます」
「堅苦しい挨拶は結構ですわ。クラスメイトではありませんか！本日は心行くまで親睦を深めましょう」
お互いの挨拶が終わると馬車からカーマインが飛び出してきた。
「えっ？」
カーマインは飛んでくるとスカーレットの肩に留まった。
「懐かれているね♪ちょっと妬けちゃうわ」
余りの事に感動して呆けてしまったスカーレットを呼び戻した。
「おーい！戻っておいで～～～」
「はっ！？余の嬉しさで意識が飛んでしまいました」
スカーレットは凛々しい顔を破顔させて、肩に留まったカーマインをよしよしと可愛がった。
「んんっ、ゴホンッ！スカーレットお嬢様、そろそろ屋敷の方へ案内をお願い致します」
その場を動かなかったスカーレットにメイドが促した。
「そうでしたわ。申し訳ありません。すぐにご案内致します」
「良いよ。スカーレットちゃんの可愛い顔が見れたからね♪」
「もうっ！意地悪ですわね！」
顔を赤くしながら前を進んで行くスカーレットだった。
屋敷の入口をくぐり抜け、廊下を進むと中庭に案内されました。
「着きましたわ。どうぞ、我が家のお茶会をお楽しみ下さいませ」
中庭にはテーブルが設置されており、生垣には美しい花が飾られてあった。
すでに20人ほどの令嬢が来ており、会話に花を咲かせていた。
「皆様、本日の主役であるシオン・バーニングハート公爵令嬢が御到着されましたわ！！！」
会話を楽しんでいた令嬢達が一斉にシオンの方に視線を向けた。
「えっ？私って主役だったの？」
「全然知りませんでしたね～」
シオンとアリスが首を傾げるのに、またメリッサは頭が痛くなった。
『どうしてシオンは常識がないのかしら？淑女教育は受けているよね？１番爵位の高い者がシオンであり、天才画家として国内外にその名を轟かせているのだから当然ですよ？』
平民のアリスはともかく、この絵以外はポンコツなシオンに頭を抱えるメリッサであった。
もしかして、シオンを守るって言うより、シオンがやらかさないか、フォローするのがメインなんじゃと、ようやく自分の仕事に気付いたメリッサだった。
軽くため息を付いてから取り敢えず、シオンを取り囲んだ令嬢達をどうにかしようと動き出すのだった。
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