歓迎パーティー
シオンは何回も水を入れ替えして、ようやく真っ黒な水にならなくなった所で浴槽から出るのだった。
パチンッ
アクアが指を鳴らすとシオンの身体はすぐに乾いた。そしてバサッとワンピースを着させて完了である。
「ふぅ、冷たかったけど助かりました。ありがとう!」
「良いのよ♪それより、蒼達がいるなら私も一緒に付いていっても良いかしら?」
シオンはお母さんを見ると頷いた。
「それはもう大歓迎ですわ♪大切な娘の命の恩人ですもの!」
「まぁ、アクアなら大丈夫か?」
「貴女より信用できますわね」
「なんだと!」
「なんですか!」
紅さんと蒼さんはいつも通りいがみ合い、王子達もようやく会話の中に入ってきたが、顔が赤くて前屈みなのはご愛敬であろう。
「取り敢えず戻りましょう。アクエリアス様の歓迎をしませんとね♪」
お母様の一言で私達は別荘へ戻る事になりました。別荘に戻ると連れてきた使用人達は大慌てで歓迎の準備をしました。
「アクエリアス様………いえ、アクア様は人間の食べ物は食べる事はできますか?」
「ええ、食べなくても生けていけるけど、食べれない事はないわ。ただ、肉よりは魚や海藻のサラダなど脂っこくないものをお願いします」
畏まりましたと、お母様は使用人達に指示を出して歓迎パーティーが開かれました。
「さて、時間になりましたのでアクア様の歓迎とシオンを救って頂いたお祝いパーティーを始めます!」
パチパチッ!!!!
「まさか、蒼と紅が揃って暮らしているなんて思いもよらず、私もしばらく一緒に居たいと思い、急に押し掛けてしまい申し訳ありませんでした」
アクア様は失礼ながら紅さんと違って、上品で気品があり、礼儀を重んじる御方のようである。
「古龍様に続き、古の大精霊様をお招きできて光栄であります。そして大切な娘シオンを救って頂きありがとうございました」
お母様も深く頭を下げて御礼を致しました。
そして硬い挨拶はそこそこに、歓迎パーティーが始まりました。
「それにしても少しへこむわね。シオンの呪いに気が付かなかったなんて…………」
珍しく魔法に長けた蒼さんが落ち込んでいた。
「それは仕方ないわ。シオンの呪いは普通じゃなかったもの。肉体ではなく、魂に掛けられて呪いよ。物質より精神の力を見るに特化した精霊じゃないと気付かないわよ」
アクア様はアリスとリリィを見つけて尋ねた。
「貴女達は光属性の力があるわね。それに、アリスさんには水属性の相性良さそうね。戻ったら私の指導を受けてみない?」
!?
「は、はい!よろしくお願い致します!」
なんとなく働き出していたアリスのテンションが上がった。
次の日になり、シオンの兄達が合流した時、大精霊が優雅に母親とお茶をしていて驚いたのであった。




