働きます!
屋敷に戻ってきた日は、使用人も含めて久しぶりのシオンお嬢様の帰宅に身内でのパーティーが行われた。貴族のパーティーなので身内ないでも正装でだ。
「凄い…………こんな世界があったなんて!?」
アリスはシオンのドレスを借りて生まれて初めて着飾った。と、言うより着せ替え人形にされた。
「アリス様はとっても髪が綺麗ですわ♪肌もスベスベで♪」
「こちらのイヤリングを試しましょう♪」
「いいえ、こちらのブローチと首飾りを合わせましょうよ!」
ワイノ
ワイノ
『どうしてこんな事に!?』
アリスを連れてきたシオンは、使用人達に通達したのだ。学園での初めての友達であり、素晴らしい絵のモデルなの!と伝えたのだ。
で、あれば侍女や執事達も平民だからと侮ることは出来ない。まぁ、バーニングハート家では教育が行き届いているので、そのような者はいないのだが。
そして、夢の様な体験をしたパーティーから3日経ったある日…………
「アリス様、おはようございます」
優しくフカフカのベットから起こされたアリスは眠たい目を擦りながら起こしてくれた侍女に御礼を言った。
「いつも私なんかにありがとうございます」
「いえいえ、何を仰いますか!シオンお嬢様の大切なご友人ですので、誠心誠意でお世話させて頂きます」
私なんかただの平民ですよ?運良く魔法の力に目覚めただけの………
アリスはこのままではダメになると、朝食の時にシオンに訴えた。
「このままでは私はダメになってしまいます!お願いです!お仕事をさせてください!」
アリスはシオンに土下座をして頼み込んだ。
「ど、どうしたの!?」
アリスから事情を聞くと、このままでは堕落して元の生活に戻れなくなるとの事。
そして元々、長期休暇の間はバイトをしてお金を稼ぐ予定であった事を聞いた。
「わかったよ。メリッサと同じ様にここで働いてね」
「えっ!良いんですか?」
シオンは何も考えて無いようにオッケー!とGOサインを出した。
「うん、まぁいいんじゃないかな?」
「シオンが決めたんなら良いと思うぞ。メリッサにも同年代の同僚が居れば相談しやすいだろうからな」
兄達はシオンに甘かった。
しかし、アリスの魔力に興味を持ったのが蒼さんだった。
「シオンのスキル豪運には珍しい人材を集める効果もあるのかしら?リリィと同じく珍しい光属性持ちですね?」
えっ!?
まぁ、ヒロインだしね!
「光属性持ちって100万人に1人の割合でしたっけ?」
「そうだね。アリスも聖女の資質があるかもね」
レインの言葉に蒼さんが口を挟んだ。
「光属性持ちは確かに、治癒の魔法が使えるけど、だから聖女の資質があるのとはちょっと違うの。光属性持ちは珍しいから他の魔法を覚えさせるより、回復魔法を覚えさせる国が多いため、聖女と呼ばれるようになっただけなのよ。本来なら攻撃魔法を極めれば勇者にもなるしね」
なんだってーーーーー!?
うん?
驚いて見たけど、この世界って乙女ゲームだよね?勇者っているの???
周囲のメンバーは蒼さんの説明に衝撃を受けていたが、シオンは別のことで驚いていたのでした。




