有名人じゃい!
馬車から降りると大勢の生徒が道を空けて左右に分かれて待っていました。
小心者のシオンは内心で何事ですかーーーーー!!!!!と叫んでいたが、顔に出さずに………いや、少し顔をひきつりながら言った。
「皆さん、おはようございます」
何とか言ったシオンだったが………
『『『おはようございます!!!』』』
ぴぇっ!?
大勢の生徒に大きな声で挨拶されてビクッとなるシオンだった。
「クスクスッ、シオンそんなに驚かないで」
レインお兄様が手を引いてくれた。
それよりも!
コソッ
「いったいこれはどういう状況なんですか?」
シオンの問い掛けに、軽くため息を吐いた。
「はぁ~シオンはもう少し自分の価値を認識して欲しいよ」
何を?
「そうだね」
隣で聞いていたジークも軽くため息を吐いていた。
だから何の話よ!?
「本当に気付いてないのか………まぁ、それがシオンの可愛い所だけどね」
「ああ、でももう少し危機感も持って欲しいね」
二人とも酷くない?
他愛ない話をしながら歩いて行くと、周囲の声が聞こえてきた。
「天才画家シオン様よ!」
「ああ、同じ学年で良かった!」
「みて、肩に子龍がいるわ!龍種のテイムもできるなんて凄すぎるわ!」
「私は隣にいらっしゃるジーク様が気になるわ♪素敵ね!」
「あら?私はルーク様派よ♪」
「私はクールなレイン様派ね!」
なんだ?なんだ?これはアレかな?有名なアイドルの出迎えって感じかしら?
(なんか違う)
しかしシオンは順応性が高いため、手を振りながら歩いていった。
その度に歓声が上がった。
アイドルと目があった♪みたいな感じで。
「さて、学年が違うからオレ達はここまでだ。ジーク、メリッサ、シオンを頼んだぞ」
「はい!」
「任せて下さい!」
こうしてようやく教室に向かうのでした。
「やぁ、久しぶりだね。元気だった?」
ライト王子が挨拶してくれました。
「あ、おはようございます」
「うん、おはよう。ジーク、ここまでシオンのエスコートご苦労様。もう帰っていいぞ?」
ピキッ
「シオンと一緒に通うことも出来なかった負け犬の分際で………お前こそ帰れよ」
「ふっ、いつも会えないからその分、燃え上がるのさ」
どうやらライトも成長したようで、言い返せるようになったようである。
「メリッサ、ジークのヤツはシオンに手を出していないよな?」
「はい!当然です!何かあれば私がシオンをお守り致しますので御安心下さい!」
!?
「メリッサ!お前は誰の味方なんだよ?」
「私はシオンの味方であり、シオンの恋人ですよ?きゃっ♪」
両手を頬に当ててキャーっと1人で盛り上がるメリッサだった。
『『コイツは敵だった』』
ライトとジークは認識を改めるのであった。
ちなみにこの教室は、現代の大学のような感じになっており、階段式に後ろが高くなっている。
自由席である。
「………なんかみんな近くない?」
シオンの席の両隣を巡って熾烈な戦いがあったとか、なかったとか。
まぁ、どうでもいい話である。
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