パジャマパーティー②
シオン達がキャッキャッウフフと楽しんでいる時、男性陣達は──
「今さらだが、どうして貴様がここにいるんだ?ライト王子殿」
軽蔑する眼差しを向けるジークにライトも睨み付けた。
「私がどこに居ようとジーク殿には関係無いだろう?」
「いいや、関係あるね!婚約を申込む女性に暴力を振るった者を、近くに居させたくないと思うのは当然だろう?」
ギリッと歯を噛み締めるライトだったが、弟に薬を盛られて狂っていたなど言えるはずもなく、黙るしかなかった。
「…………確かにあの時の自分は大人げなかった。しかし、今は和解して『良い関係』を築いている」
ピクッと反応するジークにライトも反論した。
「それに、隣国にアポもなしに来るなど礼儀がなってないのではないか?余程、隣国の王子様は暇だとみえる」
「なに?それを言うなら貴様もだろうが!こんな婚約者でもないのに令嬢の家に、入り浸るなんて、最低な行為ではないか!」
「「なんだと!!!」」
二人は胸ぐらを掴み、一触即発の状態であった。
※二人はまだ7~8歳です。
ガチャと扉が開き、シオンの兄ルークとレインが入ってきた。
「おっ、やってるな♪」
「はぁ、やれやれですね」
シオンの兄達が入ってきた事で、二人は手を離し椅子に座り直した。
「ちょうど、ここにそれぞれの国の王子が居る事だし、少し話そうぜ?」
ルークは手を少し上げると後ろから侍女がお菓子と飲み物を運んできた。
「こんな男達で何を話すというのです?」
ジークは皮肉って言ったがレインが冷静に言い返した。
「ここではジーク殿が一番の新顔だ。シオンの情報が少ないだろう?ここにライト王子がいる理由についても話そうと思ってね」
!?
「悪い話じゃないだろう?」
『確かに悪い話ではないな。ここは少しでも情報を引き出しておくのが得策か?』
ジークは瞬時に頭で考えをまとめて頷いた。
かくかくしかじかと、言うことでライト王子が薬を盛られていた事は秘密にして、だいたいの事情を話した。
「よく御二人がライト王子を許しましたね?」
「さぁな。まだ許していないがシオンが望んでいなかったからな」
そう言ってお菓子のクッキーを口に投げ入れた。
「それでライトはここで、しごかれている訳か」
「おっ、そんなに余裕があっていいのか?」
ルークはジークに言った。
「何か?」
「ライトはこのオレとレインが鍛えているんだぞ?今のお前よりよっぽど強くなっている。そして、このままだとその差は開く一方だ。それでいいのか?」
!?
「自分だって城で剣術の訓練はしている!」
「ああ、人間の考えた訓練をな?」
???
「どういう意味ですか?」
「おまえ、シオンが子龍をテイムしている事を知っているだろう?その親がここにいる」
!?
「バカな!成人した龍がいるなどあり得ない!子龍をテイムするだけでも奇跡なのに、親が取り戻しにきた事で、国が滅んだ実例もあるんだぞ!」
「ああ、そうだ。でもテイムした子龍の卵が、呪いなどで汚されていて、それをシオンが救ったと言ったらどうだ?」
「なっ!………いや、子供を救った事で許されたのか?だったら………」
「ジーク殿下、貴方は頭がキレる。だから言っておくよ。子龍の親は古龍リヴァイアサンとファフニールだ。その二人は人化して、我が家の騎士団に古の魔術や剣術を教えてくれているんだ」
ジークは何度目かの驚愕を受けた。
「そんな………!?」
ルークはそんなジークを楽しそうに見て言った。
「さて、朗報です!君が望むならここで修行させても良いとのことだよ」
!?
「レイン!そんな事は聞いていないぞ!」
ライト王子が叫んだ!
「だって不公平だろう?情状酌量があるとはいえ、暴力を振るったライト王子がここにいることを許された。だったら隣国の王子であるジーク王子もここにいてもダメではないだろう?」
「そ、それは………」
ライトは何も言えなくなった。
「まっ、シオンにふさわしい者達を争わせて、1番ふさわしい者がシオンと婚約できる権利を得るって言うことだよ」
「なるほど。これは父上に掛け合い、ここで修行させて頂く許可をもらわないとな」
ジーク王子に闘志の炎が燃えた。
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