これはラブコメ小説だった!……いいえ、ファンタジーですよ?
顔を真っ赤にしながら屋敷に逃げ帰り、自分の部屋のベッドにダイブした。
「うわぁーーーー!!!!!恥ずかしいよぉ~!!!!」
枕に顔を埋めて脚をじたばたとして悶えた。
まさか、自分が乙女ゲームのヒロインみたいに、王子様から求婚(婚約)されるなんて思ってもみなかったのだ。
「シオーーーン!大丈夫?」
ヒューーーンとフィーネが飛んできた。
「…………余り大丈夫じゃないかも」
枕にまだ顔を埋めながら答えた。
「シオンがこんなに恋愛に免疫がないなんて知らなかったわ」
「だって!前世でも男の人と付き合ったことなんて無かったし………」
ああ!
フィーネも察した。
まだ20歳前後で亡くなったシオンは乙女と言ってもいいだろう。このうら若き乙女が日本ではなく、西洋式のプロポーズに驚くのは無理ないだろう。
「それでシオン、ジーク王子のプロポーズを受けるの?」
!?
「そんなのわかんないよ~~~」
また脚をバタバタさせて悶えた。
まったく、公爵令嬢(笑)が聞いて呆れるわね。
フィーネはそんなシオンの様子に軽くため息を付いた。ジーク王子はあの曲者揃いのシオンの兄達を手玉に取るくらいは切れるらしい。
でも、シオンをここまで育てた(見守った)自分としては、このままシオンをポッとでのジーク王子に簡単に渡すのはモヤモヤする。
ならば取る行動は1つね!
フィーネはシオンの側に行き囁いた。
「いや~シオンが【ショタ好き】とは思わなかったわ?ジーク王子のような子が好きなの?」
!?
「そんなわけないでしょ!」
ガバッと起き上がってフィーネに言った。
「でも~将来はハンサムになるかもだけど、まだ10歳にもならない子供に告白されて、真っ赤になるなんてね~~?」
フィーネはうざいドヤ顔でシオンに言い返した。
「だ、だから!ジーク王子の事が好きなんじゃなくて、あんな告白が恥ずかしいって意味でっ!」
「でも~、あんな逃げ方したら好意があるって思われるじゃん?」
!?
「あわわわわ!?みんなもそう思ったの!」
「うん、確実にね。兄達も来訪を断る事もできず、屋敷に迎え入れたよ?」
おっふぅ………
「は、恥ずかしいけど一度挨拶してくるわ」
「うん、それがいいよ。付いて行くから安心して」
(面白そうだし♪)
「ありがとーーーーう!!!!!」
珍しくシオンはフィーネの思惑に気付かず感謝して抱き付くのだった。
「ぐぇっ!?ギブギブ!?」
自業自得である。
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──カール公爵の執務室にて──
「なに?幾ら先触れがきたとしても当日にくるなどマナーがなっていないだろう?どうして断らなかった?」
執事から報告を受けたカール公爵は不快な表情を浮かべた。
「はい。隣国の第一王子と言うこともあり、入口で出迎えて、そのまま帰ってもらうつもりでしたが…………実は─」
執事からの報告を受けてみるみる内にカール公爵の顔が般若の様になっていった。
「クソガキがっ!?我が家の妖精姫に口付けをしただと!!!!」
いえ、手の甲ですが。
「よろしい、ならば戦争だ!我が家の力を思い知らせてやる!」
いち貴族が隣国と戦争する気ですか!?
執事の制止を振り切り、カール公爵はバンッと執務室の扉を開くと、ジーク王子のいる応接室へと足を運ぶのだった。
ここにいつもは影の薄いシオンの父親がラスボスとなって降臨した。
どうなる!?
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