閑話(王子の独白)
私はライト・イースト。この国の王子だ。
私はいつの間にか、信頼していた弟に薬を仕込まれて、性格が尊大になっていたみたいだ。
バーニングハート公爵家で頂いた魔法の指輪のお陰で、あれほど求めていた弟から貰っていた飴玉が欲しくなくなった。
本来であれば薬の入っている飴玉を食べたくないが、何れ報復する時の為に油断させる為に、目の前で1つ口に入れる事にしている。
無論、すぐに場所を移動して吐き出しているが。
本当に不思議な気分だ。
公爵家では頭がフワフワしていて、実感が沸かなかったが、今は頭がスッキリしていて、ここ最近の自分の振る舞いを思い出しては、自分を恥じて悶えたくなる。
そして、母は違うが大切に思っていた弟に薬を盛られていたのはショックだった。
王妃である母は、弟であるクロウは母とアークモン侯爵に利用されているだけではないかと言っていたが、今までとは違う第三者の視点から物事が観れるようになった私は、クロウが自らの意志で自分に薬を盛っていたと感じている。
私にも怒りはある。母の言う通り何れ報復するつもりだ。
この事は父と宰相にも報告済みで、私の力になってくれると言ってくれた。
まぁ、二人とも魔法の指輪を貰ったので、断れないだろう。
それだけ毒の無効化の効力は価値のあるものだから………
最近、変わった事と言えば、フセイン伯爵の令嬢と仲良くなった事だ。
ただ、恋愛ではなく良き相談相手として、『友人』としてだが。
リリィ令嬢はバーニングハート公爵家の長男であるルークに惚れているらしい。
表向きは私の婚約者候補としているが、私達は同盟を結んだんだ。
リリィ令嬢をルークとくっ付ける代わりに、私とシオンの仲を取り持ってくれる約束だ。
私は薬の影響があるとはいえ、シオンに暴力を振るってしまった。シオンの好感度はマイナスだろう。
根気よく会う機会を多くして、少しずつ仲良くなっていくつもりだ。
この気持ちが『恋』なのか正直、まだわかっていない。助けてくれた事への感謝の気持ちなのか、傷つけた事への贖罪の気持ちなのか、はっきりしていない。
ただ、シオンの事が気になるのは事実である。
私と結ばれる事は難しいだろうが、せめてシオンが誰かと結ばれるまでは一緒にいたいと思う。
ああ、私にも絵を描いてくれないだろうか?
母上のように宝物にするのに。
私は今まで以上に勉学に励む事にした。私は所詮、同年代の子供の中ではできる方と言うだけで、クロウなどは表に出さないで、裏で実力を付けている。多分、本気で剣術の試合をすれば負けるだろう。
でもそれは今の段階でだ。
私は絶対にシオンの隣に相応しい男になってみせる!
当面は、バーニングハート公爵家での訓練に参加させてもらい、慢心した自分を鍛え直してもらうつもりだ。
あの二人の兄達に殺されないよう注意しないとな…………(遠い目
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