よし!ぶっ殺そうぜ!
シオンが帰宅した時の事であった。
「「あのクソガキが…………」」
(カール公爵&シオン)
まだ怒りの収まらないシオン達は呪怨のようにクソガキが…………と、呟いていた。
ガクブル
ガクブル
『こ、怖いよー!これからシオンは怒らせないようにしようっと』
フィーネは馬車の中で震えていた。
ようやく地獄の空間から解放されたフィーネは外を思いっきり飛び回った。
『ああ、生きてるって素晴らしい♪』
そして、シオンが屋敷に入ると兄二人と子龍が出迎えてくれた。
「シオン、遅かったな。あのクソ王子との婚約は無くなったんだよな?」
「こら、ルーク言葉が悪いぞ。シオン、カール公爵が付いて行ったんだから婚約は無くなったんだよね?」
ちぇっ、1人だけ良い子ぶりやがって。長男のルークは呟いたが、シオンの頬が少し赤い事に気付いた。
「お、おい!シオン?その頬はどうしたんだ?」
シオンは言われて自分の頬を触ると、怒りが込み上げてきて、ポロポロと涙を流した。
プルプルと堪える仕草は可愛い………じゃない、プルプルと堪える仕草は、痛みを我慢しているようにみえた。
「どどど、どうしたのシオン!?」
「れ、レイン!お前何かしたのかよ!」
「バカっ!何もしてないよ!ルークこそ何をしたんだよ!」
動揺するバカ兄二人に対して、子龍達はシオンの頬をペロペロと舐めてくれた。
うん、可愛いよ♪
「シオン、すぐに治療しなさい。レイン!動揺してないで、回復魔法を掛けるんだ」
父親に言われて気を取り直したレインは、回復魔法を掛けた。
「それで、何があったんだ?」
ルークの言葉に、カール公爵は言い難そうに言った。
「シオンがクソガキ………第一王子に顔を殴られたんだ。俺の婚約を断るとは何様だと言われてな」
ブチッ
「…………よし、そのクソガキを殺そうぜ!」
「珍しく意見が合うな。力を貸すよ」
実に仲のよい兄弟である。
「だ、大丈夫よ!その後は、反撃してタコ殴りにしてやったから!ただ、いきなり殴られたから腹が立って………」
「そのクソ王子をタコ殴りにしたのか!傑作だな!ははははっ」
「確かに良い気味だけど、ムカつく事には変わりないね」
ゾクッと急に玄関の気温が下がった。
ドクンッドクンッと心臓の音だけが良く聞こえた。
「………シオンが理不尽に殴られたと言うのは本当かしら?」
ギギギッと首を横に振り返ると、お母様がやってきました。
「えっと、レインお兄様に回復魔法を掛けて貰ったので大丈夫です」
お母様はシオンの頬を優しく触り抱き締めてくれました。
「シオンは昔から我慢するから心配よ。大丈夫、この落とし前は必ずするから心配しないでね?」
お、お母様!?今の言葉のどこに心配しない要素があると?
「ねぇ、同じ子を持つ母親として、子供が理不尽に危害を加えられたらどうします?」
お母様の後ろにいた古龍のお母さんズは答えた。
「そうだな。八つ裂きは決定だな。あたいなら、チリも残さず灼熱の炎で消し炭にしてやるぜ」
「そうね~?あっさり殺してもつまらないから、適度に回復魔法を掛けて永遠の苦しみを味合わせるかしら♪」
リヴァイアサンのお母さんの方が怖いわー!
「それと、あなた?あなたが付いていながらどういうことかしら?」
いきなり話を振られてしどろもどろになるカール公爵だった。
「それは……その…………すまなかった!」
立場の弱いお父さんである。ホロリッ
「はぁ、ルーク、レイン、わかっているわね。即座に、王家との取引を止めるわよ」
「「はい!」」
「はいっ、じゃない!王家を敵に回すのか!?」
お父様だけは理性がありました。
「多少は仕方がありません。それに、向こうから頭を下げに来させることに意味があるのよ?」
お母様は氷の笑みを浮かべて知略を張り巡らせるのだった。
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