平和ってなんだろう?
私のお母様の提案はすんなり通り、お母様ズはバーニングハート家で暮らす事になりました。
赤髪の女性のファフニールは身体を動かすのが好きで、タダ飯は悪いと言ってうちの騎士団を指導するようになった。特に剣聖のルークを気に入り、個別指導までしている。
青髪の女性のリヴァイアサンは知的で家の書斎を気に入り、いつも本を読んでいるが、魔法の造詣が深く、魔法師団の指導を受けてくれた。
魔力を底上げする修行方法を教えて、日に日に魔力が高まり、攻撃呪文の威力が上がる事を喜んでいた。そして賢者のレインは、シオンのやった2つ同時に行う魔法の修行も始めた。
リヴァイアサンも丁寧に教えてくれるので、レインも素直に教えを受けていた。
「なかなか人間にしては筋がいいな!」
「こちらも、粒ぞろいが揃っていて、教えるのが楽しいわ」
千年は生きている古龍にしたら、人間を指導するなど遊び同然であるが、騎士団や魔導師達にしてみれば、伝説級の怪物に指導して貰えるなど、感激の極みであるため、死にもの狂いで指導についていった。
「ここの騎士団ってバーニングハート家の私兵なんだよな?忠誠心が高過ぎじゃないか?」
「それだけ当代の治める政が民に受け入れられている証拠ね。まぁ、国を治める王族からしたら面白くないでしょうけど」
ファフニールは思い付いたように言った。
「蒼、お前が魔導師達を育てているのはもしかして?」
「うふふ、紅の思った通りよ。いずれ王族より人気があり、善政を敷くバーニングハート家は、難癖を付けられて挙兵される可能性があるわ。私達が出ても良いけれど、人間同士の戦争は、同じ人間で立ち向かわないとね?」
二人は旧知の仲であり、【紅】(あか)、【蒼】(あお)と呼び合う仲である。
シオンやフィーネは、まさか戦争の準備………備えをしているなど露程も思わず、呑気に過ごしていた。
「………どうかな?」
!?
「す、凄いわ!?シオン、マジで!」
最近のシオンは【絵】を描き始めた。
家族の肖像画を個別に描いてプレゼントした時は、家族全員が家宝にすべきだ!と、騒いだのはビックリした。何とか自室にそれぞれ飾って貰うことで落ち着いたのだが、シオンは3ヶ月間の月日を掛けて、家族全員が揃った肖像画を描いた。
そこには、父、母、兄二人にシオン、フィーネ、それに子龍とそのお母さんズが揃った肖像画であった。
3ヶ月も掛かったのは、大きなホールに飾る横に長方形の形で5メートルはある巨大なキャンバスに下書きをしてから、油絵具で描かれた会心の作品であったからだ。
お母様は国宝級だと、その出来栄えに歓喜して涙を流したほどである。
古龍のお母さん達も絶賛したぐらいである。
この会心作は、大勢の人に見てもらおうと、屋敷の入口で二階まで吹き抜けになっているホールの一階と二階の中間の空間に、屋敷に入った者が必ず目に付く場所に飾られた。
わざわざ、古龍の蒼さんが『状態保存』の魔法まで掛けてくれた。これで100年以上も劣化せずもつそうである。
そして、ちょうどフィーネを描き終えた所である。
その絵はトリックアートで描かれており、まさに3Dのように、絵のフィーネが立体的で飛び出しているように見えたのである。
こうしてシオンは、3Dアートもしくはトリックアートと呼ばれる近代的な画風を新規で作り出したことで、芸術の世界で他国にもその名を知られるようになるのであった。
平和って素晴らしい!
『よろしければ感想、評価、ブックマークよろしくお願いします!』




