感動の再会!
屋敷に入ると、シオンは侍女達に最高級のお茶を出すよう指示して、子龍のいる部屋に向かった。
扉を開けると、テーブルの上で二人でじゃれついて遊んでいる子龍達がいた。
!?
「ぼうや!」
「私の子よ!」
二人は子龍に抱き付いた。
「きゅぅ♪」
「にゃん♪」
!?
「ちょっと!今、猫みたいな声出さなかった!?」
シオンはツッコミを入れたが──
「会いたかったわ!」
「よかった……うぅぅ」
家族の感動の再会にスルーされた。
なんだろう?
これって私が子供を浚った犯人にされるパターンかしら?
コソッ
『ねぇ、この後どうすればいいのよ?』
『ええっ!私に聞かないでよ!取り敢えず、再会できてよかったですねーて、言って帰って貰ったら?』
フィーネは当てにならないと感じたシオンは、緊張した顔で尋ねた。
「再会できて良かったですね。それで………その………」
今日はお兄様達はお出掛け中で居なかった。
ここはシオンが泥を被るしか無いのである。
ビクビクッしながら声を掛けると──
「「我が子を救って頂きありがとうございました!」」
同時に御礼を言われました。
はい?どういうこと!?
「我が子は毒に侵されていました」
「私の子は魔物の襲撃で卵に呪いの針を刺されてしまって、治癒できる薬を探しておりました」
「えっ?」
シオンは間の抜けた声を出してしまった。
「我が子は魔物の襲撃で、猛毒の体液に侵されていたんだ。治そうにも、解毒と回復魔法を同時に掛けないと、卵の中身が死んでしまう所だったのよ。時間はあったけど、なかなかそんな芸当ができるヤツが見付からず………うぅぅ」
「私の卵も、ちょっとしたスキに嫌な魔物に、呪いの針を刺されてしまって、正しい順番に抜かないと卵が割れて、子供が死んでしまう所だったの………」
母親達は愛おしそうに、子龍達の頭を撫でた。
「…………ねぇ、シオン?海の卵ってポポッイて針を抜かなかった?」
「止めて!?言わないで!マジで」
そんな事が知れたら殺されるわ!
でも、嬉しそうでよかった。
「それじゃ、【カーマイン】と【マリン】はこれからお母さんと一緒に暮らせるのね♪」
シオンの言葉にピキッと空気が凍った。
「あれ?」
何?この空気は?
二人はシオンを睨んで言った。
「あなた、この子達に『名前を与えた』のかしら?」
「えっ、はい。名前がないと不便だったので………」
お母さん達は手で頭を押さえた。
「なんてことなの………」
「マジかー」
えっ!?
えっ!?
なんなのよーーーー!!!!?
「子龍に名前を与えるって言うのは契約するってことなのよ。並みの者がやろうとすると、大量の魔力が失われて死んでしまうのよ?」
「よく無事だったな?」
ええっーーーー!!!!!?
そんな事知らなかったよ!
フィーネを見たが、必死で首振った。
『マジで?私も知らなかったんだけど?』
意図せずシオンを危険に晒していたことに、フィーネも顔を青くするのだった。
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