お母さんがやってきた!
シオンはガミガミっとフィーネに叱られていた。
「まったくもうっ!硬い殻に刺さった刺を抜くときなんて、注意しないと卵が割れてしまうでしょう!それをポポッイと抜くなんて!」
「まぁ、卵が割れても成熟していないから、死んだ赤ちゃん龍が出てくるだけだから危険はないよ」
何故かレインがフォローした。
「それはちょっと可哀想かな?ってか、今さらだけど龍の卵って危険はないの?」
「それは大丈夫だ。龍の卵なんて何十年も掛けてようやく孵化するんだぜ?だから貴族の屋敷の応接室などに置いて自慢するんだ」
へぇ~そうなんだ。
「親が取り返しにこないの?」
「そのケースもあるけど、今回は大丈夫かな?俺が森で見つけた巣には1つしかなかったけど、卵の殻が幾つも散らばっていたから、これ以外は孵化したんだと思う。一体だけだったら親は追い掛けてくるが、何体も孵っていたら1つぐらいは気にしないさ」
なるほど!
「でも、龍の卵って高い魔力を秘めてるから、食べたら強くなるんだよね!じゅるり」
フィーネはヨダレを拭った。
「強くなるって言うか、滋養強壮には良いって聞いたかな?」
「そうなんだね。ってかフィーネ、そんなに食べたそうにしないの。ニワトリの卵焼き作って貰うからね」
わーい!とフィーネが飛び回った。
ピキピキッ………
「うん?」
カタカタッ
カタカタッ
なんで!?
2つの卵が突然動き出した。
「た、卵が……!?」
「どうして当然に!」
応接室にいた子供達はお互いを見て戸惑った。
フィーネもオロオロしていた。
そうしている間に卵にヒビが入り割れていった。
ピキピキッ!
『きゅい?』
『くーう』
森から持ち帰った卵は上部だけ割れて、赤色の子龍が顔を出した。
そして、海から持ってきた卵は半分以上が割れて、青色の子龍が出てきた。
「か、可愛い!」
シオンは殻を取り払うと子龍の一匹を抱いた。
『きゅうきゅう♪』
ペロペロッ
シオンの顔を舐めて甘えてきた。もう一匹は寂しがったのか、シオンの肩に登り頬を撫で撫でして甘えた。
「モフモフはないけど可愛い♪お兄様、最高のプレゼントですわ!」
はっ!?
「シオン!危険はない!?大丈夫!?」
余りの光景にぼうっと見守ってしまったフィーネは、我に返ると慌てて声を掛けた。
「うん♪大丈夫!見て、この子達甘えてきて可愛いよ~~」
あー、これはダメだー!
シオンの目が横線のキラキラした陥落した目になっていた。
「うふふ♪ういヤツめ♪」
フィーネは完全に子龍の虜になっているシオンに、本日何度目かのツッコミを入れた。
スパコーーーン!!!!!
「あいたーーーー!!!!!」
「このポンコツ姫め!今日だけで何回やらかすのよ!急にこの子龍達が襲ってきたらどうするつもりだったのよ!」
珍しくフィーネの言うことが正論であり、兄達も何も言えなかった。
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シオンが子龍を孵化させて懐かれたことはすぐに知れ渡った。
「まぁまぁ♪なんて可愛いのかしら♪はい、あーん♪」
お母様も子龍にメロメロになっていた。
それからしばらくして、とある人物が尋ねてきた。
バチバチッ
「えっと………当屋敷に何か御用でしょうか?」
『何故』か、二人できた『美しい女性達』はお互いに視線を飛ばしてバチバチッしていた。
「「ここに私の子供がいると知ってきました!」」
仲が悪いのか、仲が良いのか二人は同時に話したのであった。
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