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prologue




・・・・・・・・・・・・・・・




布団をかぶってずいぶん経ち、闇が光にぼやけて、形を作り出したとき、ああこれは、夢なのだ、と、ぼくはなんとなく、そう思ったのだけど、今度は『夢』の意味が思い出せなかった。



これは、なんだ?

ただ、ふわふわと、見えない体がそこにあるだけ。

見たくない世界が、ここにあるだけ。


小学校。会議室。放課後。呼び出し。先生。そしてぼく。

どうやら、個人面談のようだ。好きじゃなかったな。


――しつれいします、ヨウコせんせい。


――いらっしゃい。あなたが、最初の面談ね。

あなたのこと、先生に、素直に教えてくれればいいのよ?


――はい。

好きなものは、しおと、さとうで、きらいなものは、かさとか、くるまとか……わごむ、かなあ。


――どうして?


――だって、まるいのに、いたいですもん。かたちがかわるし、とんでくる。


――丸くて痛い?

まあいいわ。

ななとくんは、なりたいもの、ない?


――ああ、おにいちゃん。ぼくはおにいちゃんになりたい。

え?

おとーとはいらない。

……おにいちゃんになりたい。

だって、そうしたら、おにいちゃんと、『おんなじ』になるでしょ?

としした、は『りゆう』になるから、いやなんだよ。


――理由ってなあに。訳のわからないことを言って、先生を困らせないで。


    □



先生の叫びが聞こえるか聞こえないかで、場面は一気に変わった。


ななとくんのお母さんですよね、おはようございます。

えーっと、これなんですが。

ご家庭で、なにかもんだいがありませんか。

朝の健康観察表も、ちょっと、不思議な怪我が目立つといいますか……


――はあ、もんだい、ですか、とくには。うちの子は、すこし、かわってるので。

もんだい、ありませんよ。ねぇ? なぁちゃん。


――なにもない。


――本当に?


――ないったら。ぼくは、かえる。

かえるから。

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