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頭でっかち巨頭竜

(´・ω・`)遅れてごめんなさい

 前回の特上オークが出た所から更に奥の奥。そこには、広大な森が広がっていた。地下であるにも関わらず空?には太陽が見え、木々の隙間から光が降り注いでいる。奇怪な鳴き声があちこちから響いてくる気味の悪い森だ。


──ズゥゥゥゥン!


 森に棲む岩の様な巨体が倒れる。

 岩猪と呼ばれるゴツゴツした岩の様な体を持つ魔物だ。その硬い皮は、防具の素材になるし、何よりお肉が絶品であった。


「うむ。順調であるなー」


 本日3頭目である岩猪を倒し、無事自分で決めていたノルマを達成した。

 ちょっぴり嬉しい。


「──あっ!」


 倒れた岩猪に巨大な魔物が噛みついていた。

 体の半分はある大きな頭部には鰐の様な巨大な口がある。それに比べて貧弱に見える胴体は、不格好に見える。


 今回岩猪を倒した場所は、水場の近くであった。恐らくこの鰐はその水場に棲んでいたのだろう。


「済まぬが、それは私の獲物なのでなー。遠慮してくれ給えー」


 ひょいと飛び上がり、頭を思いっきり踏みつける。

 肉が潰れた音がして鰐も岩猪の隣に倒れる。


「ふむ、ノルマに加えて頭でっかち鰐君も追加だなー。鰐は豚と鶏の中間の味ともいうらしいし、きっと美味しいであろう」


 インベントリを開くと、ズズズッブラックホールに吸い込まれる様に2つの巨体が消える。

 

 ノルマを終えて帰れるとほっとして周りを見ると、岩猪との戦闘で荒れてしまった森が目に入る。

 倒れてしまった木々、粉砕された岩。そして、ゴブリンの死体が所々に血塗れで転がっている。


 このゴブリン達は一体……。

 もしや巻き込んでしまっていたか? 

 姿は見ていなかったから、隠れ潜んでいたのだろう。

 岩猪を吹き飛ばした時に下敷きにでもなったかのー?


 そのまま置くのも勿体無いと思い、ゴブリン達もインベントリに仕舞う。


 私はホクホク顔で帰り、商業ギルドに入る。

 夕方営業時間ギリギリの商業ギルドには、商人達が列を作っていた。


「あら、セーレちゃんお帰りなさい。今日の戦果はどう?」


 そう声を掛けてきたマリアンヌさんの顔には疲労が見える。


「今日は人が多いみたいだがー。何かあるのかのー?」


「もうすぐお祭りだからよ。第三王女の御誕生祭ね。だから商人達が張り切っているの」


「そうであったかー」


「あまり興味無さそうね? 美味しい物もいっぱい出るわよ?」


「であっても、魔物素材ではないのだろう? 私は、特上オークみたいなのが食べたいのだー」


「確か目玉として巨大な魔物食材の料理を出したいって案があったけど、無かったから没になったよねぇ」


 巨大な魔物食材……。ハッ──!?


「マリアンヌさん。私、岩猪と変な鰐取ってきたんだがー」


「岩猪と変な鰐? ちょっと見せてくれないかしら?」


 いつもの部屋で、いつもの様に岩猪と変な鰐を出す。

 流石に大きすぎたので片方ずつ順番に見せた。


「岩猪は、大きいだけで普通ね。その頭が巨大な鰐は──」


 いきなり大きな音を立てて扉が開け放たれた。


「──巨頭竜じゃな!!」


 見ると腕を組んだ8歳くらいの女の子が立っていた。


「む?」


「えっ? ギルド長? 何時お帰りに?」


 どうやらこの女の子がこの商業ギルドのギルド長らしい。


「……セーレちゃん。こう見えてギルド長は私よりも遥かに年上なんです。子供扱いしたり年寄り扱いすると怒りますのでお気を付けて」


 聞こえない様に小声で教えてくれるマリアンヌさん。


 確かに少し色使いやら服装やらが実家のお婆ちゃんを思い出す様な──


「む。お主、今儂を見て変な事を創造しおったか?」


「そのような事はないぞー」


「ならば良いのじゃ。さて、お主。セーレといったか。お主が取ってきた巨頭竜、御誕生祭にて使わせてもらうぞ! 没になった企画を復活させるのじゃ!」


 そう言って、偉そうにしながら概要を私達に説明するのだった。

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