美味しいを求めて──素材調達者!
(´・ω・`)
「貴方が、かいじゅーさん?」
そう声を掛けてきたのは、私よりも少し大きいくらいの少女だった。
青銀の髪、深そうな海の様な瞳の少女は、ぼーっとした顔で私に抱き着いてきた。
「ふわサラで気持ちいい~。ZZZ……」
あら? そのまま寝てしまったか。
見た目で判断するならば、年齢は13、4といったところか。
生身の私と並んだら姉妹とか言われそうだなー。よしよしー。かわゆい奴めー。
「あらあら、イムリちゃんは寝てしまったのね」
マリアンヌさんと領主様が見送りを終え、戻って来た。
ほう。この子は、イムリというのか。
かわゆい名前ではないかー。よしよしー。
「仕方があるまい。先程までずっと食べていたのだからな」
確かに良い食べっぷりだったなー。
いっぱい食べていっぱい寝れば、大きく育つであろう。
将来は、美人さんになりそうだしなー。
「片付けは他の者に任せて、少し話がしたい」
「部屋を用意させているわ。こちらへ」
案内されたのは、金の1番の部屋。先程とは違い、茶と茶菓子の準備がしてあった。
「改めて、この町と周辺を治めている。アニト=シュタッペンだ。まず、今回の特上オークの提供。あれは素晴らしい物であった。感謝する」
「私からもお礼を言わせて。お陰で渋っていた商人達の取引の幾つかが纏まったわ。有難う」
「気にしなくて良いよー。美味しい物は、皆で共に味わう方がより美味しく感じるものだしなー」
「それで、お願いなんだけれど──」
マリアンヌさんが一枚の用紙を私の前に置いた。
「商業ギルドの素材調達者になって欲しいの。等級は2級よ」
「本来、素材調達者は5級から始まる。これは、異例中の異例の特別措置だ」
つまり、それだけ私の事を評価してくれているという事だなー。
用紙は登録用紙だった。備考の所に、開始等級は2級からと書いてあった。
素材調達者になった場合、商業ギルドの様々なサポートが得られる。
運営している乗合馬車の優先権と乗車賃の割引。商業ギルドで取り扱う素材の購入の割引と商品の取り寄せ。
「んむ! 私、かいじゅーさんとパーティー組む!」
お、イムリちゃんが起きましたなー。
「どうであろうか? 調達者になってくれないだろうか?」
うーむ。
イムリちゃんは妹の様でかわゆいからなー。
今後の目標も無かったし、良いかもしれないなー。
「良かろー。調達者になって、イムリちゃんとパーティーを組もうではないかー」
差し出されたペンを受け取り記入をする。
「イムリより年上?」
用紙の年齢の欄を見てイムリが首を傾げる。
「これでも22歳なのだよー。」
「ほほう。今まで怪獣怪獣と呼ばれていたが、中々良い名前ではないか」
「セーレ=アンジョウ=メルティンねー。貴方、貴族だったの?」
二人も珍しそうに私の名前を見ている。
そんなに珍しい物なのだろうかー?
「いんやー? 私は平民で、両親の姓を名乗っているだけだよー」
「セーレお姉ちゃん。宜しく」
「うむ。宜しくー」
イムリちゃんとガッチリと握手を交わす。
「取り合えず、私と同じ特級まで頑張って上げてね」
「な、なんですとー!?」
イムリちゃん、まさかの特級素材調達者だったー!
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