まさかの貴重素材! 査定の金額は──
体調良くなりました。辛かったです。(´・ω・`)
「オークの取引という事でしたが、今お持ちですか?」
この部屋は広く作られていて、取引物を品定めする為に専用の荷台もあった。
私は、インベントリから引っ張り出す様にして荷台にオークを出した。
「これは……。只のオークではありませんね? 色がかなり黒に近いです。通常のオークは濃い緑色の体ですから」
マリアンヌさんは、珍しいのかオークをじっくりと観察している。
「ユースさんにはそう言われたねー。昨日、準備運動に日帰りでダンジョンに入った時に倒したんだよー」
そう言うと、マリアンヌさんにかなり驚かれた。
このレベルのオークを準備運動なんて言いながら余裕で倒せる冒険者であれば上級の人くらいだと。
「冒険者のレートだと上級です。商業ギルドの素材調達者であれば2等級といったところでしょうか」
「素材調達者とは何かね?」
「素材調達者とは、商業ギルドに所属している素材調達専門の狩人です。ただ倒すだけの冒険者とは違い、素材の価値を可能な限り落とさない様にする技量と知識を持った、ちゃんとした資格を持った人達の事です。彼等は、等級によって階級が分けられています。一番上が特級、以降が1級、2級となっております。現在商業ギルドに所属している特級の素材調達者は、5名のみ。1級も100名程です。」
その次くらいには、凄いのです! とマリアンヌは、凄い凄いと褒めてくれる。
そこまで大した事はしていないのだがなー。
殴って痛めつけて、首を爪で斬っただけだしなー。
「このオークは、かなり丁寧に倒されています。見た目では、打撃の痕と首の斬撃のみ。オークは皮の利用方法がないのであまり意味がないとお思いかもしれませんが、内部の肉が傷まない様にするにはこれが一番重要なのです」
「ほう? では、このオークは如何程で買い取ってくれるのかねー?」
「このオークは、この状態で凡そ500kg。可食部は恐らく半分くらいでしょうから250kg。これ程の量の希少なオークであれば、即金で金貨9000枚は出します」
「ふむふむ。金9Kかー。中々の金額になるのだねー」
「9、K、とは……」
「む? 金額が多い時に私はそう呼んでいるだけだよー。1000で1K、そこから桁の0が3つ増えるごとに、1M、1G、1Tと上がる。金額が多い時には、重宝するのだよー」
ゲームの時は、金貨での取引が当たり前だった。
そして、値段も桁違いに高かった為にこうした表現になったのだ。所謂ガチ勢が持つような1級品の武器で32Tとかとんでもない金額だったのが懐かしいのー。
「成程。商業ギルドでは、取引の金額が大きくなることが多々あります。便利なので参考にさせて頂きます」
「好きにすると良いよー。さて、それはさておき、だ。マリアンヌさん」
「何でしょう?」
「このオーク。食べてみたくはないかねー?」
「──ジュ、ジュルリ。よ、宜しいのですか?」
マリアンヌさん。
涎で美人な顔が凄い事になっておるよー?
そこまでこのオークが食べたかったのかねー?
「構わんよー。他にも食べたいものがいれば呼ぶが良い。この程度のオークであれば、出た時にまた取れるであろうからなー」
「あ、ありがとうございます! 直ぐに準備いたします!」
こうして、商業ギルドでオーク特異種の食事会が開催されるのだった。
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