第3話 桜の咲くころに
履修登録をしに大学を訪れた後、そのまま東浦と北麻木駅に向かった。
尾関「なぁ、東浦。こんな格好でいいのか?塾ってスーツとかじゃなくて・・・。」
東浦「塾長がいいって言ってたのだからそんなことは気にしなくていいのよ。」
尾関「それならいいんだけど、今日何をするんだ?」
東浦「3時から面接、4時から試験よ。試験は大丈夫よ。中学の範囲5教科だから。」
尾関「なるほどね。」
東浦「ついたわよ。」
でっかく【千羽ゼミナール】と書かれた塾名と、ビル一棟丸まる使った教室があった。職員室は2階にあり、そこに女性が一人いた。
東浦「塾長、彼が尾関武蔵君です。」
塾長「あらあら、誠二や桜が言ってた通りかっこいいじゃない。私が【千羽ゼミナール麻木校】の教室長:鈴木麻美よ。誠二の姉よ。」
尾関「よろしくお願いします。誠二から聞いてました。」
塾長「よし、じゃあ。荷物をそこにおいて、まず書いてほしい書類があるから、ペンとか出してくれる?」
契約書などを一通り書いてから面接が始まった。
面接と言いながらも働ける日や時間などである。
試験もなんなく通過して、初授業日は3日後の金曜日となった。
昔から緊張しない性格なので授業計画やプリント作成を行った。
3日後・・・
塾長「よしじゃあ、7時から授業だけど生徒は集めておいたからリラックスしてやってきて頂戴。」
尾関「はい、わかりました。」
俺の教室は301号室。名簿を見ると中1の体験生15人だった。
部屋に入って自己紹介をした。
尾関「えー。今日から中1体験生クラス担当することになりました。尾関武蔵です。緊張させない、楽しい授業をしていきますので宜しくお願い致します。」
生徒はまじめに50分間授業を聞いてくれていた。
塾長「おつかれ。はいこれ、どうだった?」
尾関「そうですね。やっぱり難しいですね。向いてないかもなって思ったりしました。生徒もなんか黙ったままでしたし。」
塾長「最初はそんなもんよ。でも、本人とは生徒側は受け取ったようだよ?」
塾長は入塾者決定名簿を見せてきた。そこには、僕が持った15人すべてが入塾、そして尾関クラスを希望してくれていたのだ。
尾関「本当ですか?これ」
塾長「そうだよ、初回の授業で15人獲得なんてすごいよ。」
尾関「よかったー。ドッキリにしか見えませんよ。」
塾長「それでさ、今回の15人を3クラスに分けて武蔵クラスを3つにしたいんだけどどうかな?」
尾関「3クラスですか?」
塾長「そう、これから5月からは尾関A~Cの3クラスにして、武蔵には3クラス全員の担当になってもらいたいんだ。」
尾関「わかりました。ぜひともやらせてください。」
東浦「よかったわね。」
尾関「おう、全部お前のおかげだよ。東浦」
塾長「目標は東浦A~Eみたいに100人見れるようになることよ。」
尾関「東浦すごいな!」
東浦「そんなことないわ・・・。」
塾長「クラスを持ったってことはクラス分けも全部武蔵がやるのよ?」
尾関「え?どうやって?」
塾長「自分でテストを作ったりするのよ・・・。」
尾関「がんばります。」
塾長「大丈夫よ、武蔵なら。」
結局火曜・水曜・金曜来ることになった。
東浦は毎日のように授業を持っている。
帰り道、東浦と近くのファミレスでご飯を食べた。
尾関「毎日、五教科見るって大変じゃないのか?」
東浦「私は英語専門よ。担任ってだけよ。数学は別の先生が見てくれてるわ。」
尾関「なるほど。なんで俺は3クラス5教科なんだ?」
東浦「鈴木誠二先生の姉よ?尾関君に無茶なことしたいに決まってるじゃん?」
尾関「一発で論破するのやめてくれる?」
東浦「ほかの8人とはどうなの?」
尾関「うん、まぁ、どこかでかけたりはしてるよ。」
東浦「私、明日暇なのよね?」
尾関「そうなのか。」
東浦「尾関君のうち行っていいかしら?」
尾関「あぁ、別にいいけど。俺明日授業だけど・・・?」
東浦「じゃあ、私が起こしてあげるわ。」
尾関「え?今日泊まるの?」
東浦「えぇ、そのつもりよ?」
尾関「わ、わかった。」
という感じで東浦が普通に今日泊まりに来た。
すると、塾長から電話が来た。
尾関「もしもし?」
塾長「あ、武蔵。今日の授業の評判が良くて25人追加になったわ。4クラスよろしくね。来週。」
――――――
尾関「25人見ることになった・・・。合計40人。」
東浦「あら、すごいわね。そんな才能が。。。」
尾関「テスト作らないとな・・・。」
東浦「頑張ってね。おやすみ。」
尾関「おやすみ・・・。」
すごい生活が始まりそうな予感がした。