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幕間 帰り道
ちょっとした小話となっています。
次は本編に戻ります〜
黒澤久雄と鰐淵稜平は、駅までの道のりを歩いていた。
大柄な久雄は、猫背で歩く小柄な少年の横につき歩幅を合わせている。
「少年よお、本っ当に大丈夫かえ」
「はい。何も」
「んだったか。⋯⋯ところでよ」
「何ですか」
「登美香とはよ、その、どういう関係で」
「⋯⋯ああ。付き合ってはいません」
久雄はあからさまにほっとした顔をした。
「んだか‼ まあなあ、お前も色々あんべぇがら」
久雄がそう言って鰐淵の肩を叩いた。鰐淵は胡乱な目を向ける。
「難儀だなァ、少年は」
「⋯⋯どこまで、」
「何だ?」
「⋯⋯いえ」
どこまで知っているのか。
鰐淵はその問いを、自分の中に封じ込めた。