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鳥になって飛んでゆきたい

作者: 星明

今、あなたのもとへ飛んで行けたらどんなに良いだろう。



由菜ゆなーっ」

はじめまして。私の名前は牧野由菜。中学三年生です。

私の名前を呼んでいたのは友達の瑞穂。小学校のときから仲のいいお友達です。

「授業終わった?」

「あ、うん」

今は丁度、帰りの会が始まるところ。帰りの会って言ったって、明日の連絡を先生から聞いて、日直が前に出て「さよならー」とか言うだけ。私はドアに近いからちょっとぐらいよそのクラスの子と話してても別にどうってことない。なかなかに気楽ないい場所です。

“あ…しゅんだ……”

しゅんは私の中学校生活三年間、ずっと好きだった人です。もちろん今もだけど……。

しゅんのクラスはとなりのD組です。ちなみに私はC組です。瑞穂もしゅんと同じD組です。

D組はいつも下校時間が早い。C組はいつもビリ。だから、D組の子とC組の子が一緒に帰るときは長時間待たされてしまっていて、なんだかかわいそうです。

でも、私はこの時間が結構好き。ドアの隙間からしゅんの顔が見える。近くには瑞穂もいてすごい安心できる。


私は自分勝手です。

はっきり言って、しゅんはなかなかにもてます。私の知っている人だけでも四人はしゅんのことが好きです。それがなんだかくやしいです。「ほかの女の子がいなくなっちゃえばいい」たまにそう思います。やっぱり私は自分勝手です。

私は私がキライです。

髪を下ろすとお化けみたいです。ポニーテールしかできません。自分に平気で嘘を付きます。実を言えば、小学校の時からしゅんが好きでした。自分に嘘を付いて気が付かないふりをしていただけなんです。

もちろんしゅんは好きだけど、瑞穂だって大好きです。瑞穂がほかの子と遊んでいると、ちょっとだけ嫌な気分になります。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


私は空が大好きです。

空を見上げると笑顔になります。空を見上げると悲しくなります。


空を見上げると…大切なひとが見えてきます。


私は朝早くのうすい色の空も、昼の輝いている空も、夜の冷たくて温かい、静かな空も大好きです。



私は時々思います。

「私はいったい誰が好きなんでしょう?それより、私は誰かを好きなのですか?」

私は時々問いかけます。

「どうして私はあなたを好きになったのでしょう?」

どこかの誰かに聞いているわけではありません。好きな人に聞いているのです。自分の心に聞いているのです。



自分のことさえよくわからない。あなたはこんなにも近くにいるのに、とても遠い気がする。

まるで夜空に浮かぶ星のよう。瑞穂は明るい太陽だから、いつも私を照らしてくれる。小さな小道を創ってくれる。


私も遠くへ飛んでゆきたい。あなたのもとへ飛んでゆきたい。あなたが星なら飛んでゆくから。周りが空なら飛んでゆくから。

私は鳥になって、大空へ羽ばたくから。

ねぇ、今すぐ、飛んでゆくから。どこにも行かずに待っていてね。こんな私もいつか飛べるわ。

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