心の入れ替わり!??大歓迎ですわ!
「うぅ・・・」と言ってわたくしーーーエリカ・スタングルはうっすらと目をあけた。
否、ある意味もうわたくしはエリカ・スタングルではないのかもしれない。
だってーー体が他人になっているもの。
あれは、パーティの帰り道のことだった。
わたくしエリカはこの国の第一王子、ルーク・エレメントの婚約者として幼い頃からすごしてきました。美貌にも多少の自信がありまして、【妖精姫】なんて呼ばれていましたわね。なんでも、エメラルドの瞳がたくさんの方に好評だったみたいで。この国の王子の婚約者であるわたくしは否が応でもめだってしまいます。そのせいで同級生の方から、嫉妬の目で見られることも多々ありました。
その日は卒業記念パーティが開催される日でありました。適当なドレスを着て、心にもない笑顔をふりまくパーティがわたくしはどうも好きになれませんでした。そんなパーティもいくらか過ぎれば終わるもので、わたくしは帰ろうとしていました。その時に、口を塞がれて連れ去らわれてしまいました。
気絶してしたのでしょうか・・・見られない天井を目にしてわたくしは目を覚ましました。体は縛られておりうまく動けません。なんとか起き上がると見慣れた制服ーーわたくしが通う学園の制服を着た女の子が座っていました。
「ごきげんよう、エリカ・スタングル様。私は、マリン・サルバトルと申します。以後お見知りおきを。」
「ええっと・・・マリ、ンさん?わたくしを連れ去ったのはあなたですか?」
普通の人なら泣きだすところですが、子供のころから教育されてきたわたくしはその素振りを一切見せるようなことはしません。本当は不安でいっぱいですが。
「そうよ!わたしがあなたをさらったのよ!あなたなはいっーーーつも王子の婚約者だからといってみんなから注目を浴びて!妖精姫とか呼ばれて!私もみんなの注目を浴びたかったのに!あなたばっかりずるいのよ!だから、貧民街の人にお金渡してあなたをここまでつれてくるようにしたわ!」
「ここに連れてきて何をするおつもりですか?身代金とは思えませんけど。」
「とりあえず、このネックレスをつけなさい!話はそれからよ!」
そう言って彼女は二つのネックレスを取り出し、わたくしの首元につけました。縛られているので抵抗もできません。残ったネックレスを彼女は自分の首元につけてました。わたくしがつけられたつネックレスの真ん中に埋め込まれたのは禍々しく輝く赤色の鉱石、彼女には青藍としている鉱石が埋め込まれていました。
つけ終わったあと、彼女は意を決したように何かを呟いた。 彼女がセリフを言い終えた瞬間、周りが謎の光に覆われわたくしは思わず目を塞いでしましました。
目を開けるとそこにはーーー縛られていた縄をどうほどいたのか、わたくしが立っていました。
赤色のネックレスをつけて。
わたくしーーいえ、ややこしいのでエリカとしましょう。エリカは勝ったような顔つきでわたくしにつげました。
「どう?びっくりしたでしょ?そのネックレスは、町の怪しい店に売っていた心を入れ替えることができるんですって!偽物かと最初は思ったけど、なんかオーラを感じたのよね!結果成功したわけだし!これであなたはマリン・サルバトルよ!私の踏み台ご苦労様っ!精々、頑張って生きることね!」
そう言い彼女は棚から香水のようなものをとりだし、部屋のドアの前に来てからそれをわたくしの方にふりまきました。
「これをかけられると眠くなるのよ。私も鬼じゃないから殺しはしないわ。一応マリン・サルバドルだったころの私のお金ぐらいはのこしといてあげる。そこの棚に入っているからあとは頑張ってー。じゃあね、マリン・サルバドルさん?。ふふふっ」
彼女が部屋から出た瞬間眠気が襲いその後目覚めて今にいたるわけですわ。
わたくしはーーマリン・サルバドルになってしまいました。
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やった!やった!私、エリカ・スタングルーー元マリン・サルバトルは歓喜した。第一王子の婚約者にして妖精姫と評されるこのわたくしこそ、この国の女性の憧れの的!ついに夢にまでみた、生活ができるわ!
とりあえずパーティ会場まで戻ったら、いきなり王家直属の騎士が来たわ!心配したんでしょうね!いなくなっていた理由を聞かれたけど適当にごまかせていたら、そのまま王宮に入ることになったの!王子がよんでいるみたいなの!憧れの王宮に入れるなんて・・・いいえ、これが普通なのね。はやく王子に会いたいわ!イケメンだしきっとお優しいのでしょうね・・・
王宮に入った私は早速王子に会うことになったわ。部屋にいた王子はーーそれはそれはかっこよくて、絵にかいたような美しさ!平然を装い、私は王子に声をかけたわ。
「御機嫌よう、ルーク様。今日はどういった
「エリカか。とりあえずここに座れ。他のものは帰っていいぞ」
えっ・・・それは今から王子と二人きりっこと!??いきなりすぎてドキドキが止まらないっ!もしかして今から体を重ねたり?どうしよう・・・・私経験ないから心配だなぁ。そう思っていると ゴンッ!!と音が鳴って私は殴られた。え、王子に殴られた?いやいやそんなはずがない。あの王子でしょ?きっと手が滑って
「今日もよく来たなぁエリカ!殴られた気分はどうだ?痛いか?はははっ!」
嘘だ・・・これが王子なわけ
「ほらよっと!まだまだへばるなよ?妖精姫の名は伊達じゃないっか?ほら、どんどんいくぞっ!」
いやだ・・・こんなの嘘よ嘘。殴られたくないーーーーーーー
私はその後も殴られ続けた。王子は普段見えないところばかりを殴ってきた。怪我をわかりにくくしたいのだろう。今にも倒れそうな私は今度は王妃の部屋に連れてこられた。
「あら、エリカじゃない。ちょうどよかったわ。ここにある書類を今日中にまとめておいて。」
そこには、大量に積まれた紙の束があった。
「こんなの・・・できるわけがないじゃないですか!私、まだ学生ですよ!」
「はぁ?今更何言っているの?あなたには幼い頃から王妃としての教育を受けてきたじゃない。この前だってすぐにまとめていたじゃない。冗談言う暇があるなら早くしなさい。」
嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!いやだ!こんなの無理!王子だっておかしいし、なんでこんなの私がしないといけないの!おかしいわ!私は妖精姫なのよ!みんなの憧れの的!こんな理不尽な世界を生きる存在じゃない!いやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやーーーーーーーーーーーーーーーーー
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わたくしマリン・サルバトルーー先日までエリカ・スタングルだったわたくしはあの後、部屋に残されたお金を確認し、部屋から出ました。最低限生きていけるだけのお金があったので、馬車に乗り、この国を出て、ある喫茶店で働くことになりました。ああ、国と言っても前の国と縁がない国です。王妃教育を受けてきたわたくしにとって、お客様の相手をするのは造作もないこと。すぐに馴染みました。経営についても詳しいので、お店の経営にアドバイスすることもでき、店主から驚かれました。国を動かすわけではないのでとても簡単です。従業員の方、お客に来る方皆が優しく接してくれるのでとても幸せです。
そういや、彼女は大丈夫でしょうか?あそこは地獄と言っても過言ではない場所だったので、変わってくれて本当によかったですわ。さて、あの国のことは忘れて、これからの幸せな時間を過ごすとしましょう。
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