初団員と出会う
ここは王都、マフティーネ城。
その中でも街の真ん中に立てられている大きな建物。
プローフェル士官学校。ここは各地方から優秀な生徒が集まってくる学校だ。多くの生徒はこの士官学校で学び、育ち、各ギルドへ加入する者もいれば、卒業し地方へ帰る人達もいる。
「今日は卒業式ねアリス」
「そうね。ドキドキして落ち着かないわ。」
そう。それもそのはず。
プローフェル士官学校の卒業式はギルドへ加入する者達への試験となっている。
主に、心·技·魔3つで評価され各ギルドのギルドマスターから誘いを貰えれたら合格となる。
「一緒に受かりましょうねセルシア。」
「私は受かる自信がこれっぽっちもないわ」
「辞めなさいよ。縁起でもない」
「アリスは受かる自信ある?」
「当たり前じゃない。セルシアと一緒にしないでほしいものね。絶対に聖騎士団に入るんだから。」
この城は6つのジョブとギルドに別けられている。
ファイター職をメインにしているギルドマスターがギルドを構える「聖騎士団」。剣技においては右に出るもの無し。顔良し。頭良し。生徒からも街の民からも尊敬されているギルドだ。
シールド職をメインにしているギルドマスターが構える「マルクス」。その名の通り大きな盾を持ちどんな攻撃からも跳ね返す。戦場では最前線に立ち仲間の為に行動する。
ハンター職をメインにしているギルドマスターが構える「銀の狩人」。最弱とまで言われた弓職。その弓職を最強とまで言わしめたギルドマスター。戦場ではここ一番で仲間を助ける精神的支柱の役目のジョブである。
メイジ職をメインにしているギルドマスターが構えるギルド「魔法騎士」。その名の通り戦況を覆すほどの大魔法で敵を打つ。魔法を使う者なら1度は憧れるギルド、ジョブである。
アサシン職をメインにしているギルドマスターが構えるギルド「イントレピッド」誰よりも先に攻撃を与えるジョブだ。戦場では誰よりも先に攻撃し敵の攻撃を交わしながら反撃する。その光景が美しい程に綺麗で強く、憧れの的である。
最後に...
シソーラス職をメインにしているギルドマスターが構えるギルド。「緑のヒール」戦場では仲間を助け。時には仲間をたすけ。ある時も仲間を助ける。
1番憧れもかっこよさも知られないジョブ。最弱の職業と言われている。
「よし!今年こそはギルドに仲間を入れるぞ」
カランカラン
プローフェル士官学校の扉は硬くて重い
「嫌になっちゃうぜ。もっと楽な扉でいいのに」
「もう少し力をつけた方がいいんじゃないですか?」
「うるさいな!シソーラスには力なんてものは要らないんだよ」
後ろを振り返ると.....
魔法騎士団ギルドマスターのティオネがそこに居た。
「試験の方は何時からだ?」
「あら...もう終わったわよ。2時間も前に。」
「また、やってしまった。今年も生徒を見る機会がなく勧誘すらもしてやれなかった…」
「毎年、毎年、お騒がせな人ね!ユリウス。」
「だっでぇぇぇぇ」
「はいはい。どうせ寝坊すると思ってピックアップしといたわよ」
「ありがどぅうう。。その中にアサシンはいる?」
「ほんっと世話のやける人ね/////はい。これ」
「ユリウスってシソーラスなのにアサシンを取るの?」
「あぁ!シソーラスっていってもパーティー組むのに全員シソーラスなんて要らないだろ?」
「確かに!!」
「そんな事言ってたら来たわよ。あの子がアサシンで落選した子よ。」
そこには大広間の端っこで泣いている小さな背中をした男の子が居た。
「そんな所で泣いてたらかっこよくないぞ君」
「ほっといてくれ!僕は何の才能も無いただのゴミなんだ」
「おい!」
「.......」
「ゴミだの才能が無いだの君が決める事じゃない。これからは俺が決める事だ」
「.......???」
「うちのギルドに来ないか?」
「でも、僕...どのギルドにも認められなくて...」
「だからなんだ!他のギルドがギルマスが認めなくても俺はお前を認めてやる。だから来い!」
「どこへ??」
「ギルドだよ!ギールード」
「え?ぇぇぇぇえええ?」
「よし。そうと決まれば酒だ。酒。」
「僕、呑めませんよ?」
「これから呑めるようになればいい。そしてこれから認められるような人になればいい。」
「はい!」
街角で1番の賑わいを誇る酒屋。
「おーい!酒をくれ。」
「はいよ!」
そこには小タルに入った葡萄酒が2つテーブルに置かれた。
「改めて自己紹介しよう。俺は緑のヒールギルドのギルドマスターユリウスだ。よろしく。」
「あっはい。僕の名前はシンです。よろしくお願いします。」
緑のヒールなんて聞いた事ないなぁ。小規模ギルドかな?小規模ギルドの上は何のギルドだろう?ヒールって事は回復系のギルド?僕、アサシンだけど大丈夫なのかな…...
「レベルはいくつだ?」
「はい。14レベルです。」
「14???」
「はい。レベルが低いからと学校ではいじめられ。それが原因で試験も受からず...」
「ハァハァハァハァ」
「そんな事で決める世の中になってしまったのか」
「レベルはこれから上げればいいか。」
「あなたは馬鹿にしないのですか?」
「自分の子をバカにする馬鹿がどこにいる。」
「シン!お前に聞こう。俺に一生着いてくる気はあるか?俺に命を預ける気はあるか?」
命.......か.......
とその時。。。
「おいそこの兄ちゃん。席変われや」
「聞いてんのか?ギルドに所属してない無能と聞いたことの無いギルマスの無名さん達よ」
「うへ...最悪だ」
「あぁん?誰に向かって喋ってるのかわかってんのか?こらっあぁ!」
「俺はなあの有名なアサシンがギルマスのイントレピッドに所属してるグレイだ。お前らみたいな雑魚とは違うんだよ。わかったならそこをどけ。」
「おい!誰が無能って決めた。誰が雑魚だと決めた。」
「なんだこいつ?」
「セイント」
ユリウスがセイントと言った瞬間辺り一面は黄色いどこか肌寒い痛々しい風が辺り一面に広がった。
「か、身体がう、う、動かない。何をした。」
「教えてやろうか?セイントという技だ。俺を中心に半径50メートルはこのオーラがまとってある。ゴブリンとかに使う技だ。お前らはゴブリン以下のゴミやろうだ。」
「ゆ、ゆ、指がぁぁぁ」
「ずみまぜん。俺達が悪かったです。なんでもしますから。もうしませんから。許してくださぁぁい。うぁぁぁあああ」
「ヒール」
ユリウスがヒールと言った瞬間辺り一面は暖かい緑に包まれてみんなが幸せな気持ちになっていく。
「指が治っていく。。。」
その時...バタン!!扉が開いた。外から入ってきたのはイントレピッドギルドマスターのロザリアだった。
彼は本能的に大魔力の危険を感知し酒場まで飛んできたのだった。
「おお!久しぶりだね。ユリウス。」
「この声はロザリアか。久しぶりだな。」
「今のは君の魔力かい??」
「あぁ!お前のところの子がいちゃもん付けてきたからなぁ〜」
「なるほど。これは大変申し訳なかった。」
おい!見ろよ。あのイントレピッドのギルドマスターが無名ギルドマスターに土下座してるぞ。
「ギ、ギルマス...」
「おいおい!やめろ!やめろ!俺が悪者になるだろうが」
「いや、君を敵に回す程、私はバカじゃない。また、改めて謝罪しに行く。この子達の処分はこっちで引き受けていいかい?」
「あぁ、好きにしろ。」
「そういえば、昔しじいちゃんから聞いたことがある。最弱の回復職にしてギルドマスターの中では無敗を誇ったという伝説の人がいると...彼は仲間思いでパーティーを組んだ人達は誰一人として死なした事は無いと...」
「ユリウスさん。いや、ギルドマスター」
「ん??」
「僕はあなたに命をかけます。」
「いい面構えだ。」