5-捜査
茜の葬式には学校の教師や生徒が多数出席した。
出棺する前に花束を入れる子、茜が好きだった物を入れる子、男子生徒の中には、渡せなかったラブレターを入れている子もいた。― 全員が涙を流しながら。
死んでるとは思えないぐらい綺麗な顔をしていた。普通に溺死なら誰だかわからないぐらいの遺体になってしまうらしいが、茜にはそれらは見られなかった。
・・・・もし茜の死が、百合川さんの言う"謎の女"と関係があるなら百合川さんも危ないという事になる。
次の被害者を出さないためには百合川さんの話を聞いた私、そして楓や紅葉に協力を依頼するしかない。
だけど万が一"謎の女"が本当にいるとして、一連の事件と関係あるとすれば楓や紅葉達を危険に晒すことになる。
「・・・・という事は答えは一つ・・・かな。」
「・・・何が答えは一つなの?」
どうやら声に出ていたらしい。隣に座っている菜花菖蒲が声をかけて来た。
「いや。なんでもない・・・」
「・・・そっか。辛いと思うけど大丈夫?茜ちゃんと付き合い長いでしょ?」
「正直言うと実感がわいてない。だから涙も出てないし。これは全部夢なんじゃないかなって思ってる。」
「多分みんながそうだと思う・・・茜ちゃん男女問わずに人気あったし・・・」
「みたいだね。中にはラブレター入れてる男子もいたし。・・・本人は鈍感だったみたいだけどね。」
小声で会話をしていたらお経が終わり、バスで火葬場まで行く事になった。
しかし大人数では行く事ができないらしく、茜の両親、一番親交のあった私と楓、そして紅葉と菖蒲さんと教師数名がついていくこととなった。
数分して火葬場に着き、私たちは待機所に案内された。
―これからの事を楓や紅葉に話すべきなの?それとも私一人で解決するべき?人手は多い方がいいとは思う。けど私の所為で楓や紅葉を危険な目に合わせたくない・・・百合川さんの事も気になるし・・・どうしよう―
あらゆる考えが頭の中をぐるぐるし始めた。・・・帰る頃に答えを出そうと決め、文字通り茜の骨を拾いに行った。
―不思議なもので、火葬が終わり茜の骨を拾っていると急に涙が止まらなくなった。
小学校から一緒だったため、その思い出などが一気に脳内で再生された。
その涙につられて紅葉も楓も涙を流している。茜の両親に至っては魂が抜け落ちたように無表情で骨を骨壺に入れている。
十数分も経たずに、茜は少しばかり大きい骨壺に全て収まった。
そして茜は今、バスに揺られている。・・・・もうすぐ家に帰るからね。と話す母親に抱きかかえられながら。ずっと涙を流している茜の両親を見て私は決心した。
―今でも都市伝説を信じてはいない。でも、私から大事な人を奪った"謎の女"の正体を暴き、鉄槌を下してやると。百合川さんも救って見せる。
・・・楓と紅葉には黙ったままだけどね。