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親指人形の呪い  作者: 追ヰ鰹
11/12

10-邂逅

「見て・・・・しまった・・・・」


目を覚ました私の額は汗でびっしょりだった。


"謎の女"を夢で見てから百合川さんは顔色が悪くなり、やつれていった。そして最後には・・・


・・考えるのはよそう。


「おはよう。」


家族には心配をかけないように普段通りの態度で接した。


「おはよう。・・・・大丈夫?目の下に隈ができてるけど。」


「ちょっと調べものしてたら寝るの遅くなってね・・・」


捜索をしてたのだ。嘘は言ってない。・・・・まぁ夢の中なんだけど。


「車に気をつけなさいね。じゃあもうお母さん仕事出るから。」


「行ってらっしゃい。」


どうやら母親には気づかれていなかったようだ。


数十分して私も学校へ行く時間になった。


正直外へ出るのは怖かったが、そんな事も言ってられず、先生に言っても信じてもらえないだろう。


そして学校へ着いた。


が、誰一人登校してる者はおらず、時間を確認したが朝礼より少し早い時間だった


「・・・・・そうだった。」


昨日の夢の事が頭から離れず忘れていた。校長の独断で休校になっていたのだ。


母親にも話していなかった為、普通に朝ご飯を用意してくれていた。・・・申し訳ない。


「・・・帰るか。」


私が帰路に着いた数分後、突然に強風が吹いた。カツラの人なら一発で飛んでしまうような強風。・・・例えがおかしいね。


しかし、強風はものの数十秒でおさまり、ヅラが飛んでいるような事は無かった。内心見てみたかったと残念がりながら帰ろうとした。だが、そこでふと背中に冷や汗と不審な気配を感じた。


「・・・・いる。・・・・"謎の女"が・・・・。後ろに・・・。」


これもまた夢なのだろうか。だとしたら私はいつから寝ていた?それとも現実?


私は今が夢なのか現実なのかわからなくなるほど混乱していた。そして何を思ったか後ろを振り返ってしまったのだ。


怖い話系のテレビではこういう場面で振り返ると誰もおらず、後々にまた出てくるというのが定石だ。


現実は違っていた。はっきりとそこに"謎の女"がいたのだった。


私は動けなくなり、その場に座り込んでしまった。


大量の汗が額を伝っていき、意識はそこで途切れた。


「はっ!?!!?」


私は目を覚ました。・・・・誰かが運んでくれたのだろうか。どうやらここは保健室らしい。


「・・・学校は休校のはずだけど・・・一体誰が・・・」


考え事をしていると扉が開き、誰かが入ってきた。


「あら。桜木さん。目を覚ましたのね。体調は大丈夫?」


保健室の先生だった。・・・休校なのに出勤とは、お疲れ様です。


「はい・・・・。誰が私を運んでくれたかわかりますか?」


「紫苑さんだったかしらね。あぁ、楓ちゃんの方よ。」


そっか・・・楓が・・・家に帰ったらちゃんとお礼を言わないと。


「わかりました。ありがとうございます。・・・・失礼します。」


「お大事に。」


私は保健室を出て、昇降口の方に進んでいった。


でも何か様子がおかしい。。誰も登校していないはずなのに賑やかな声がする。


おそるおそる自分のクラスのドアを開けてみた。


「お!!真鈴!!目覚めたんだ!・・・・体調大丈夫??」


そこには楓と菜花さんがいた。


「楓・・・ありがとね。運んでくれて。でも何でみんないるの?」


「何でって・・・・学校だからだけど・・・・」


「学校?・・・休校にならなかった?」


「休校??なってないけど・・・・大丈夫?寝ぼけてるの?」


楓も菜花さんも不思議そうな顔でこちらを見ていた。


「あ、あれ?校長先生の独断で・・・・あれ?」


「桜木さん、疲れてるんだよ。また保健室行く?」


菜花さんまで私を気遣ってくれていた。茜の葬式の時まで話したことはなかったけど、いい人だったんだね。


「いや、大丈夫。・・・ありがとう。」


「無理そうだったら言ってね?」


「う、うん。」


そこでチャイムが鳴り、帰りのHRが始まった。


「え?・・・先生が戻ってきてる・・・・」


数日間消息が不明だった担任が戻ってきていた。


「先生はずっといるよ・・?真鈴、大丈夫?」


どういうことなんだろうか。


「あれ、百合川と椿はどうした?」


先生・・・・その二人は・・・・もう・・・


「二人なら今トイレじゃないですか?」


「!?」


どういうことなの!?楓は茜のお葬式に出てたよね!?・・・とは大声では言えなかった。


一人でモンモンとしていると扉が開く音がして、茜と百合川さんが入ってきた。


「すいませ~ん、お散歩してたら遅れました~」


「もう・・だから早く戻らないとって言ったのに~・・・」


居ても立っても居られなかった。


「茜・・・・・・茜ぇぇぇぇ!!!」


私は嬉しくなり茜に抱き着いた。


「え!?え!?ちょ!真鈴どうしたの!!??!?」


「百合川さんもよかったよぉ・・・・」


「えぇえ!!?桜木さん!??どうしたの本当!?!」


何が何やら分からなかったが、どうやら隣のクラスの高木さんも、隣町の第一被害者も亡くなっていなかった。結果として、すべては私が見ていた夢だったようだ。


保健室で寝ていたのもほんの数時間だけだったようだ。ただ、私はその間に見ていた事全てが濃く鮮明に頭に残っていた。


唯一不思議だったのが、担任の先生がどうなったのか覚えていないこと。消息が分からなくなってから先生の情報だけは知ることができなかった。


そこからの学校生活は本当に充実していた。私は昔の様に無愛想ではなく誰とでも話すようになっていった。そして卒業の日、みんな涙を流しながら卒業証書を貰った。どうやら打ち上げもあるみたい。


あの夢は一体何だったんだろうか。今ではよくわからない。ただ、茜も薊ちゃんも生きてくれているからそれでいいと今は思い、私と楓、紅葉、薊ちゃん、茜、菖蒲ちゃんと一緒に写真を撮った。

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