表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/3

day2.Everything is wonderful

男が手にしたサックスの本はあまり読まれた形跡はないのだが、いささか年季が入っているように見えた。始めの数10ページまでが幾分か黒ずんでいる。

男は少々律儀な性格の持ち主らしい。

途中で読むことをやめてしまった本を再び読み始める時は、必ず最初から読むことをルールとしていた。

黒ずみは、男が何度も読むことに挫折し、再挑戦を繰り返した小さな戦いの跡。

昨晩、再度、いちから読み始めたようだ。楽しくて仕方がなかった。


今朝、男は通勤電車に揺られていた。

眠気と葛藤しつつも電車の中で本を開いた瞬間、言い知れぬ恍惚感が男を包みこんだ。

それは、初めて小説を書き、公開したときの気持ちに似ているかもしれない。

この作品が多くの人の目に留まり、人気作品になるかもという期待感でもあるし、ともあれ、小説を書き上げたことで「小説家を志す者」というステージに立ち、自らをそう認めることができる自負である。

男はしばらく音楽活動から遠のいていたものの、「音楽を志す者」という、以前確かに手にしていた感覚を、少し思いだしたようだ。

気がつくと電車は目的地に到着していた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ