day1.Reborn
「ああ、また無意味な土日を過ごしてしまった」
月曜日。出社前の気だるさ以上に、また同じことを繰り返してしまったという不甲斐なさに頭を痛める。
今週こそは。と決意するも、喉元過ぎれば何とやらで、毎週訪れる苦悶を自ら求めにいくM気質に成り下がっていた。
スマホ。こいつが諸悪の根源か。
長年やり続けたゲームをアンインストールした。
男はいっぺん火がつくと、我を忘れたかのように邁進する性格らしい。多額の課金をしてランカーにまで上り詰めた時は、夢にまで出てくるほどゲームにのめり込んだ。
それほど夢中になっていても簡単に削除してしまえる淡白さも持ち合わせていた。
これで邪魔するものは何もないな。
そう思いきや、この土日は猫型ロボットと子供達が世界を救う劇場映画を3本立て続けに観る暴挙を犯したようだ。
同世代を共に過ごしてきたはずなのに、男はいつしか彼らの3倍近い年齢になっていた。
未知の敵と戦い、素晴らしい仲間と出会う彼らとは対象的に、男は空虚な毎日と理解不能なプログラム言語、社会の人間関係と絶え間ない戦いを強いられていた。
何でこうなっちまったんだ。
うやむやな気持ちを抑えつけ、ほぼ積ん読状態の本棚に手を伸ばし、思い立ったように一冊の本を手にした。どうもサックスの本らしい。