絆〜不良少年の友情〜
みんな結局自分が可愛いだけなんだ
あなたは友情を信じていますか?そしてなにより人を信じていますか?様々な裏切りなどを繰り返す今の世の中
「人を裏切る」それが当たり前になって来てるとは思いませんか?そんな現代で男臭さ満点の硬派不良少年達の
「絆」と言う友情物語を是非御覧ください。俺の名前は
「キラト」15の中3。今時いないリーゼントに短ランにボンタン。でも俺はそれを恥ずかしいと思った事は一度もなくてポリシーと思っている。親の転勤で今日から新しい学校に通う。
前の学校では教師や生徒に暴力を振るったりしてたからこの学校では大人しくしてろって親には言われたけどそんなの俺には関係ねぇ。昔から気に入らない事があればすぐ暴力…それを繰り返してた。もちろんダチも作らず友情なんてのは綺麗事だと思ってた。この学校であいつに出会うまでは…。校長室で前の学校の事を注意された後、俺は教室には行かず屋上に向かった。タバコに火を着け屋上からの景色をずっと眺めていた。
「ガチャ…」誰かが屋上に上がって来た。そいつは金髪で両耳にピアス、俺が嫌いなギャル男ってやつだった。
「わりぃタバコ一本くんねぇ?」むかつくようなしゃべり方に俺はキレた
「なれなれしく話かけんじゃねぇよ」俺はやつの胸ぐらを掴みながら言った。やつはビビる事なんかせず俺を睨み付けて言った
「簡単にキレてんじゃねぇよこのヤロー」俺は我慢出来ずにそいつを殴ってすぐケンカになった。
昔からそうだった…俺は自分が殴られる前に相手を殴る。それが相手を早く倒せるし手っ取り早かったから。ケンカは負けた事がなかった。いや、負ける事を知らなかっただけだった。また俺が勝つと思って今またこうしてケンカを売った。…どれくらい殴り合ったか分からない。普通のやつならもうのびてるのにこいつはまだ立って俺に立ち向かって来る。何でこんなチャラチャラしたギャル男のくせになんて根性だって俺は思った。また再び殴り合って俺らはそのまま横になってそいつは喋りかけた
「お前…強ぇな…俺の負けだわ」いつもケンカでは負けなしだったがこの時は勝ったはずなのに何故か悔しかった。ケンカでこんなに手こずったのはこいつが初めてだったから。
「俺はセイタって言うんだけどお前の名前教えてくれよ」俺はズタズタになった口の中の血を吐いてやつに名前を言った。それがセイタとの初めての出会いだった…。次の日腫れた顔の事を教師達に問いつめられた。何も言わずまた昨日のように俺は屋上に向かった。するとそこにはまたあいつがいた。
「ようキラト!またタバコか?」こいつは懲りずにまたなれなれしく話かけてきた
「あのよ〜俺はお前とダチになったつもりもねぇしなる気もねぇから」そう言った俺にタバコを差し出してこいつは語り始めた。
「お前は俺に似てるんだわ。俺も二年前この学校に転校して来てよ今のお前みたいに話かけて来るやつにはケンカ売ってたよ。そうやっていく内にだんだん一人になっちまってよ。そんな時に俺に話かけて来たやつにまたケンカ売ってお互い譲らねぇ内に引き分けになったやつがいてよ。それからそいつとはマブダチになっちまってな。いつもバカばっかやってたよ。あの頃は楽しかったなマジで」「じゃあ何でそのマブダチは今お前と一緒にいねぇんだよ?いつも一緒だったんだべ?」俺がそう言うとそいつは少し止まってこう言った
「もういねぇんだよ…。あいつはもうこの世にはいねぇ…。今から一年前くらいな一緒に登校してた時に知らなぇガキが道に飛び出して来てよ、信号無視した車がガキの方に向かって来たのをあいつが身代わりになってよ…。病院に運ばれてすぐに息を引き取ったんだよ。あいつ顔のわりには優しくてよガキとか家族のやつにも優しくてな。なのに…あんな死に方ねぇよな…」寂しそうな顔をしたセイタに俺は無意識にこう言った
「これからは俺がお前のマブダチになってやるよ」自分でも何であんな事言ったか分からねぇ。
「ダチなんていらねぇ。友情なんてのは綺麗事だ」って言ってた俺があんな事言うなんて自分でも驚いた。だけどあいつの…セイタの話を聞いて何か胸が熱くなった。俺にそう言われたセイタは笑って
「おう。よろしくなキラト」そう言ってくれた。拳を交えた本当のダチ…これが友情だって分かった15の夏だった。それから俺とセイタはいつも一緒に居るようになった。
バカやるにしてもケンカやるにしてもいつも一緒だった。
こいつとマブダチになれて本当に良かった。それからしばらくして俺達はケンカを繰り返した為、他校の生徒達にも目をつけられるようになった。どこかで会えばすぐケンカ…学校なんて行ってる暇がなかった。毎日人を殴った拳は血で紅く染まり顔も腫れてばかりだった。だけどそんな毎日も苦痛じゃなかった。セイタが居たから。
「こいつとなら何でもやれる。生きていける」昔の俺じゃ思わない事もこいつには感じていた。そんな生活が続いて2ヶ月、久しぶりに学校の屋上で二人で腫れた顔でタバコを吸っていた時セイタがいきなりこう言った
「なぁ…もうこーゆーの辞めにしねぇか?いつもいつもケンカじゃなくてよたまには引くって事も大事だと思うんだわ。これからずっとケンカ買っていってたらその内俺らあいつらに殺されちまうぞ?だからもう手は出さないで大人しくしようぜ?」そう言われた俺はセイタの胸ぐらを掴んで言った
「てめー何泣き入れてんだよ。売られたケンカは買うのが男じゃねぇんかよ!」セイタは黙ったままだった。
「てめーとはもうやってらんねぇよ。ずっとビクビクして生きてろ」俺はそう言うと屋上を後にした。誰だって争い事は嫌いだ。
みんな結局最後は自分が可愛いだけなんだ。
セイタもその一人だった。
俺は初めて心を許したマブダチに裏切られた感じになった。
そして俺はまた昔の自分に戻りまたケンカに明け暮れた。
そんな時だった…地元の族50人に囲まれてフクロにされた。
さすがにこの時はやべぇと思った。満足に立ちきれず拳にも力が入らなかった。俺は薄れ行く意識の中初めて負けを知った…たった一人では何も出来ない。ただ痛めつけられるだけ。そんな時にセイタに言われた言葉を思い出していた。そして意識を失っていた俺が目を覚ますと隣に居たのは…セイタだった。顔を晴らしたセイタが隣に寝ていた。するとセイタは目を覚まし俺を見て言った
「一人で無茶すんじゃねぇよバカ。俺からまた大事なもん奪う気かよ。」笑いながら言うセイタに俺は言った
「何でお前まで一緒にやられてんだよ!もうお前はこーゆー事したくねぇからあんな事言ったんだろ?なのに何で…」セイタは俺の目を見て一言言った
「ダチだからに決まってんだろ?お前がヤバい時はいつだって助けてやっからよ」俺は初めて人前で泣いた。大声で泣いた。まるで赤ん坊の様に。初めての優しさを味わったからか涙が止まる事はなかった。セイタの事を裏切り者と思ってた自分が情けなかった。こいつはいつも俺の事を考えてた。自分の事だけ考えていたのは俺の方だった
「セイタ…ごめんな」俺は静かにセイタに謝った。そして俺達二人は肩を組んで歩いた。ずっとこいつと歩いていきたい。何年たってもダチでいたい。俺はお前と言う最高の宝を持てた。セイタありがとう。これからもよろしくな。
あなたは友情を信じていますか?そしてなにより人を信じていますか?まずは人を信じてみる事から始めてみませんか?
END…