第二話(人喰いクロコダイル)
アリサは少し心配そうにケイタの影を見つめた。
(ケイタの馬鹿…)
心に終い込んだ
その頃ケイタは学校を抜け出し疾風の如く廊下を駆け出した。素早く抜ける仕草は獅子奮迅を彷彿とさせた。
(よし今日は調子がいいぞ。
新記録塗り替えられるかも知れないなぁ)
ケイタは思った
森は学校の直ぐ麓にあるので時間にして5分程度で辿り着いた。しかし奥に進むに連れ霧が濃くなってくる。見渡す限り木であった。
森は樹が渋く腐敗していたり、腐敗にハエ等が集っている。
しかし何時もの事なので気にせず先へ進む。
走る走る走る
その時だ
勢い余って脚を踏み外す。何かに脚がつまづいた様だ。遠心力で転びそうになるが見事なまでのバランス感覚で着地した。
「あぶね。今の普通じゃ転んでたぜ」
ケイタは何かに気付いた。
「ん…何あれ。」
尻尾である。どうやら其れにつまづいた様だ。しかし良く眼を凝らして見てみた
緑で長くて大きくて鰐の様で…。目の前には人喰いクロコダイルの姿があった。
(げげ。…まずいかも)
クロコダイルは恐る恐る何かに気付いた様に眠りから覚める。眼を開くと右往左往を繰り返し目の前に未確認生物がいると分かると少しずつ近づく
(…まずい)
ケイタは慌てた。人喰いクロコダイルとは出くわした事があるが此れは大物であった
全長は1.5メートル程度だろうか。額に冷や汗が流れた。脚が震えだす。
少しずつなのだ。ホンの少しずつ恐る恐るとケイタに近付いて来ている。余り悟られぬ様に。
少しの間一人と一匹はにらみ合いが続くしかし緊張の糸を解すかの如くケイタはダッシュを試みた。
(振り切ってやる)
それと同時に人喰いクロコダイルももう突進してきた。
「ガルゥゥ」
速い人喰いクロコダイルは独自の進化を遂げた身体スピードでケイタに襲いかかる。
(やばいぞ。振り切れるか。かぁちゃん俺不味いかも
)
汗がひたたり落ちる
その距離5メートル
ケイタはもうダッシュする。
(明日の課題出来るかな。)
ケイタはダッシュした
その距離4メートル
(…不味いぞ)
振り切れるか
その時である
上空から声がした
「おい。樹によじ登れ。
枝に捕まれ」
ケイタは上空にある枝にジャンブした。枝に捕まり樹に登る
「ふぅ〜あぶねな。ケイ」
目の前にはケイタより一回り大きい腕っぷしの強そうな同級生有田テツヤの姿があった。
ケイタは疲れながらも口にした
「…テツヤか。助かったぜ」