第十二話(最終話)
the finale
彼等二人は足早に森を抜け出した。辺りはすっかり闇に包まれている。上着はテツヤに借りた。テツヤはケイタに問い掛けた。
テツヤ
「ふゅ〜危なかったなケイ」
ケイタ
「ああ。こんな不思議な冒険は始めてだ。夢みたいだ」
テツヤの肩を借りたケイタは答えた。
テツヤ
「家に帰るか」
ケイタ 「帰ろう」
ケイタは答えた。暫く歩くと誰かが目の前に現れた。
テツヤ 「誰だあれ」
ケイタ 「知らん」
しかし目を凝らしてよく見る。そこにはアリサの姿があった。
アリサ
「何してたの」
ケイタ
「森を冒険してた」
アリサ
「課題終わった?」
ケイタ
「いや。まだ。とりあえず帰ろうか」
彼等三人は家に帰る。
ケイタ
「しかし疲れたな」
テツヤ
「たしかに何年も森で遊んでた気がする」
蟲が鳴き始めた。危険なワニがこの森に住みついた。ケイタの些細な楽しみであった森の冒険は簡単な物ではなくなった。今回は一人で冒険に進めばケイタ命は無かったのかもしれない。テツヤとの絶妙なコンビネーションが効を奏した
だがケイタは明日も森の冒険に向かうであろうと思う。それは何故か。探求の追求か。未知との遭遇か。余興の延長か。
この世界の中に森がある。学校の麓にちょっとした広い深い森が存在する。
目の前に森があったから
とケイタは答えるであろう。
アリサ
「ねえねえ森の冒険って面白いの?」
ケイタ
「まあね」
アリサ
「どれ位?」
ケイタ
「どれ位?う〜ん。…不思議な…位かな」
◇
ある場所にいる主はそっと溢した
テレパシーの主
「不思議な冒険か…」
僅かな笑みを溢した