第十一話(テツヤの戦略)
plan a strategy
なるほど〜
無論それは彼等が考えたフェイクであった。ワニを落とし入れる為の。
負傷しているケイタを考えると当然の選択であった。このままでは不味い。が彼等の考えであった。餌食になるのではないか。そこで考えた。湖に入って消息を絶とうと。この時湖の水深は然程なかった。何故なら脚を負傷したケイタは泳ぐ事すらままならなかった筈であるから。湖に入るケイタ。
「うげぇ〜滲みる」
そうだ。ケイタは負傷した傷に水が滲みた。だが耐えたのだ。湖から陸に上がる彼等。
だがこれで大丈夫だろうか
確かに不十分であった。湖は然程広くなかったのだ。周りを丹念に調べあげれば何れ気付くだろう。
するとテツヤはケイタに要求したのだ。
「シャツを脱げケイ」
「ええ?何でだよ」
「いいから。俺に考えがあるんだ。」
ケイタはシャツを脱ぎ始めた。
「何するんだ」
「二に別れるぞ。」
するとはテツヤはケイタの血の染み付いたシャツを片手に作戦を考えた。此れが臭覚の鋭いワニに対しての盲点となった訳だ。テツヤは続けた
「出来るだけ正規のルートで帰ってくれ。」
「ああ。いいけど。テツヤはどうするんだ。」
「俺は出来るだけケイと離れ奴を誘き寄せる。このシャツでな」
シャツをチラリと見せる。無論ワニをテツヤのシャツへ誘き寄せる事が出来る確率は100%では無かった。しかし
一刻の猶予も許されぬ緊迫した状況での此の現象がワニの思考を鈍らせた。
(とにかく奴等を追わねばならん)
がワニの思考であった。この状況下が最も近いであろう血の染み付いたシャツを持ったテツヤの元へと誘導した。
追ってくるであろうワニに対してテツヤはあまり遠すぎない場所でシャツを目立つ場所へと手離す。それらの作業が終わると身を隠す。するとそのままケイタの後を追う。
其処に遣ってきたワニはシャツがトラップだと気付くが時はもう遅かった。
かけ離れていた。もう一人の人間を追うには時間が足りなかった
単独行動を好む人食いワニは此れ以上どうしようもなかった。
その他七匹のワニは湖の中を永遠と探し求めた。何れ飽きて個々の持ち場に去った
この作戦を成功させた
テツヤは類い稀にみる天賦の才のお陰でこの極地を切り抜けたのだ。
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